「ビットコイン先物」の低調が示唆するリスク
注目されていたビットコインの先物取引であるが、12月17日にスタートしたCMEでのビットコイン先物取引は低調な滑り出しとなり、それを反映した形でビットコイン現物価格も取引開始の12月17日を高値にその後は下落に転じた。
先物取引が低調になった理由としては、証拠金の高さなど使い勝手の悪さが指摘されている。しかし、CMEビットコイン先物取引が低調なスタートを切ったという事実は、先般のビットコイン急騰劇がトランプラリーによって退場を迫られたヘッジファンド等による「断末魔の叫び」であった可能性が高いことを示すものである。
米国の金融市場はクリスマス休暇に入るため、それまでに売買を完了しておかなければならない。クリスマス休暇前の17日にビットコインが高値を記録した背景には、こうした時期的な問題があったと考えるべきである。
ビットコインの今後については、仮想通貨の将来性を高く評価し、今後も上昇するという意見も強い。確かに今後、仮想通貨が金融の一端を担う手段になっていく可能性は高いだろう。しかし、それはこの2カ月間の「ビットコイン価格の急騰」とは直接的に関係はない。
この2カ月間の「ビットコイン価格の急騰」は「2017年の出来事」であり、今後もビットコイン価格が上昇していくことを示唆するものではない。
「もはや2017年ではない」
新年を迎えた投資家が、まず肝に銘じなければならないのは、こうしたことかもしれない。
ビットコイン市場でバブルがはじけたとしても、それがリーマン・ショックのような世界的な金融危機を引き起こす可能性は低い。ビットコイン市場は金融危機を引き起こすにはあまりにも小さいからである。
しかし、ビットコイン市場での円建て取引が4割前後を占めていることを考えると、ビットコインバブルが崩壊した場合に最も傷付くのは日本である可能性は否定できない。