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本当は「仲良し」の米国と中国。貿易戦争は市場混乱を狙った出来レースだ=江守哲

激しさを増す米中の応酬

それにしても、米国と中国の応酬はすごいですね。中国側は米国から輸入する大豆や自動車、航空機など合計106品目に25%の関税を上乗せすると発表しました。

トランプ政権による中国の知的財産権侵害を理由とした貿易制裁への報復措置で、世界貿易機関(WTO)にも提訴しました。

中国が報復対象とした米国産品の17年の輸入額は約500億ドルに達します。

一方、トランプ政権は通商法301条に基づき高関税を課す品目の原案を公表し、情報通信機器や自動車、産業ロボットなど約1300品目に25%の関税を適用するとしました。

このようにみると、いかにも米中貿易戦争が始まりそうな雰囲気です。

両国の本音は「早期に解決したい」

しかし、実態は違うと私は見ています。

朱光耀財政次官は「中国は貿易戦争を望まない」と指摘し、関税の実施日を改めて公表するとし、協議を通じた問題解決を目指す考えを強調しています。

トランプ大統領も「貿易赤字には我慢できない。われわれは中国と交渉する」としています。

どちらも、できれば早くこの問題を決着させたい。これが本音です。

米国は市場を混乱させたいだけ?

しかし、仕掛けたのは米国です。その背景には、市場を混乱させる意図があるのでしょう。実際にこれらの制裁関税を実施すれば、とんでもないことになります。

最終的には大幅な縮小か、あるいは棚上げになるでしょう。60日の実施余地がある。これがポイントです。60日以内に米朝首脳会談が実施されます。そして、ある程度の方向性が出てきます。

そうなれば、米中が争うのではなく、むしろ今後の北朝鮮に対する枠組みをどうするか、真剣に話始めなければなりません。

両国で関税問題などやっている場合ではありません。

Next: 市場は何を警戒しているのか。中国が強硬姿勢に出た理由

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