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本当は「仲良し」の米国と中国。貿易戦争は市場混乱を狙った出来レースだ=江守哲

上昇に向かうためには?

ダウ平均が上昇に向かうためには、少なくとも2万5000ドルを明確に上抜けないといけません。これは、近いようで遠い水準であり、なかなか大変です。

4月は買いが入りやすい季節であり、期待感も高いのですが、今の状況では投資家心理がまだ好転していませんので、基調の転換はそう簡単ではないといえます。

とはいえ、市場の目がどこに向くか次第で、株価は簡単に値動きのパターンを変えることがあります。

そのきっかけと期待されるのが、第1四半期の企業決算の発表です。これが堅調なものであることが確認できれば、投資家心理は改善する可能性は十分にあるといえます。

キーワードは、インフレ懸念とその対処

さて、これまでも指摘してきたように、長期的にはインフレへの懸念あるいは対処がキーワードになると考えています。

今の時点ではなかなか想像できないかもしれませんが、私はその可能性はあるとみています。

コモディティ価格が堅調に推移すれば、これが徐々にCPIに反映されるでしょう。その結果、サプライサイドのインフレ押し上げがいずれ顕著になってくるものと思われます。

そして、主要中銀が目標とする2%インフレに向かって徐々に進んでいくことになりそうです。

こうなると、FRBのブレイナード理事が指摘するように、低金利に慣れ切った市場が金利急騰に対応できるのかは不明です。つまり、金利上昇に驚かないように対処しなければならないわけです。

景気拡大期には金利が上昇するのは当然であり、むしろ低金利状態にあることを懸念すべきです。

低金利で株価が上昇する時代はすでに終わっています。むしろ、金利停滞は景気のピークアウトを意味します。この点からも、金利が上昇しないことをむしろ懸念すべきです。

したがって、今後は金利低下=株安の関係になることを頭に入れておくべきでしょう。

FRBは何かしらのメッセージを出すべき

パウエルFRB議長は就任後初めて行った経済見通しに関する講演で、「インフレの制御に向けて利上げ継続が必要となる公算が大きい」との見解を表明しました。

そのうえで「労働市場は完全雇用に近づいているとみられ、インフレは向こう数カ月間で上向く公算が大きい」との認識を示しています。

3月の雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月比10万3000人増と、17年9月以来、6カ月ぶりの低い伸びにとどまりました。

失業率は6カ月連続で4.1%を維持しました。一方で、賃金の伸びは小幅ながら加速し、時間当たり賃金は前月比0.3%増と、2月の0.1%増から拡大し、前年同月比でも前月の2.6%から2.7%に伸びました。

この内容だけをみれば、順次利上げを行うことの正当性は十分にあります。

しかし、一方で今の市場の不安感もあり、FRBは何かしらのメッセージを出したほうがよいのかもしれません。

実際には、政治要因には口をはさめないので、非常に難しいところではありますが、例えば貿易戦争による景気への影響と金融政策の方向性などは明確に示してもよいのではないかと思います。

いずれにしても、6日の株安もあり、リスク回避の債券投資が進んだことで、10年債利回りは2.7750%に低下し、2年債利回りも2.2740%に低下しています。イールドスプレッドは0.5010%ですが、まだまだ縮小しているといえるような水準ではありません。

一方、景気指標でも3月のISM製造業景気指数は59.3と、2月の60.8から低下しました。少しですが、この指標が悪化するのはよくないサインです。まだ水準は高いので心配はいりませんが、今後も低下するようだと、株価下落につながりやすいため、要注意といえます。

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