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生産台数さえ上がれば世界を取れる? 電気自動車テスラの現状がわかる5つの数字=シバタナオキ

今回は電気自動車「Tesla」を取り上げます。順調に予約数とシェアが伸びているものの、製造スピードが上がらず苦戦している現状を5つのポイントで解説します。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年6月26日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

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生産がまったく追いつかない

Teslaと言えば、これまでも幾多の経営危機を乗り越えて、Model S、Model X、そして大衆車セダンであるModel 3をリリースするところまで漕ぎ着けています。

しかし現時点では、Model 3の予約は順調に増えているものの、製造が全く追いついていないのが現状です。

今回はそんなTeslaの2018年第1半期終了時点での現状を、5つのポイントに整理してみたいと思います。
参考:Tesla First Quarter 2018 Update(PDFファイル)

1. Model 3の生産台数は週2,270台、Q2目標は週5,000台

冒頭でも書きましたが、Model 3の生産台数が当初想定した通りに増えていないため、苦しんでいるというのが現状です。

2018年第1四半期末時点での目標が、1週間あたり2,500台の製造だったのに対し、最大でも2,270台しか製造できずに終わります。

第2四半期末時点での目標を、1週間あたり5,000台と設定しており、これに向けて努力しているというアナウンスがなされています。

Teslaの車の製造プロセスは、これまでの自動車会社と少し異なり、かなり自動化に力を入れています。

Automation is only half the story. Higher levels of automation have been enabled by a dramatic simplification of product design. Our Model 3 general assembly line consists of fewer than 50 steps, which is about 70% less than conventional assembly lines.

自動化するだけではなく、車を製造するためのプロセスがたった50ステップ未満しかないと書かれており、これは通常の自動車会社よりも70%程度少ないステップ数とのことです。

現時点では生産スピードに遅れが出ていますが、6月末時点で1週間あたり5,000台のペースになっているか、というのがひとつのチェックポイントになるのは間違いありません。

2. Model 3の中型高級セダン市場シェアは25%超

製造に苦しんでいるTeslaですが、一方でユーザーからの期待値は上がり続ける一方です。

Model 3 net reservations, including configured orders that had not yet been delivered, continued to exceed 450,000 at the end of Q1

2018年の3月末時点で、まだ納車待ちのモデル3予約数が45万件を超えていると発表されています。

またこちらのグラフを見ると、アメリカ市場の中型の高級セダンにおけるModel 3のシェアは30%を超え、メルセデスのCクラスやAudi A4、 BMW 3シリーズよりも大きなマーケットシェアを取れていることがよくご理解頂けると思います。

従って、冒頭の話に戻ってしまいますが、Teslaにとって今必要な唯一の改善点は「製造スピード」ということになるわけです。

Next: 豪快に赤字を続けるtesla。黒字化の鍵もまた「製造スピードの向上」

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