Amazonの決算を取り上げます。最近ではしっかり利益を出すようになり、事業の多角化にも大きく成功。どの分野の成長率が最も高いのか、ランキング形式で解説します。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年8月14日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
バラバラの5つ事業を同時に成功させる凄さ。その中でも首位は?
「利益を出さずに投資」は昔の話
2018年4月から6月期の決算が、アメリカの企業を中心に発表され始めました。今回の記事では、Amazonの決算を改めて詳しく見ていきたいと思います。
Amazonといえば、過去には利益を出さないで大規模な投資をし続けるという戦略を取ってきたことで有名ですが、最近ではしっかり利益も出るようになっているだけではなく、事業の多角化に大きく成功している事例とも言えるでしょう。
今回の記事では、Amazonの各セグメント事業別の売上高の規模と、その成長率を一覧にしてみたいと思います。
※参考:Amazon Q2 2018 Financial Results Conference Call Slides
初めに、AmazonがKPIとして最も重要視しているフリーキャッシュフローの、ここ12ヶ月間の累計ですが、$10B(約1兆円)を超え、YoY+9%となっています。
このスライドの下にある通り、本業から生み出される営業キャッシュフローはYoY+22%で成長しています。
続いて売上高ですが、四半期当たり$52B(約5兆2,000億円)を超え、YoY+39%で成長しています。四半期当たりの売上が5兆円を超える会社が、YoY+約40%で成長しているというのは、大規模かつ驚異的な成長スピードだと言えるでしょう。
「利益を出さない会社」という理解をされがちなAmazonですが、最近はしっかり利益も生み出しており、営業利益は四半期あたり約$3B(約3,000億円)で、YoY+375%と大きく利益が出るような体質になってきています。
Amazonの5つの事業セグメント
冒頭でも書いた通り、今回の記事では、Amazonの主要な5つのセグメントの、それぞれの売上高と売上成長率(前年同期比)を見ていきたいと思います。
※参考:AMAZON.COM ANNOUNCES SECOND QUARTER SALES UP 39% TO $52.9 BILLION
Amazonの決算資料で公開されているセグメントは、以下の5つになります。
EC・マーケットプレイス
Amazon Prime
AWS
その他(広告)
(厳密に言うと、昨年買収したホールフーズが中心となるオフラインストアというセグメントもあるのですが、今回の四半期時点ではまだ前年同期比が算出できないため、今回は除外しておきます)
それでは、これらの事業セグメントのそれぞれを、売上の前年同期比が大きい順に、ランキング形式で取り上げてみたいと思います。
(なお、前年同期比の計算をする際には、為替の影響を除いた数字を用いていることを予めお断りしておきます)
では、第5位から見ていきましょう。