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もう日本だけではやっていけない。外需頼みの日本経済にいよいよ黄色信号=斎藤満

どの経済指標を見ても、日本経済の弱さが目立ちます。国内消費は冷え込んでおり、景気をひっぱるエンジンは「輸出」だけ。これでは安定するはずがありません。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2018年8月10日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

GDPが二期ぶりにプラスも、「外需」頼みの歪んだ構造が鮮明に

夏枯れ景気を懸念させる弱い指標

米国経済は4%前後の高成長を維持し、絶好調にあります。

それとは対照的に、日本経済は1-3月のマイナス成長のあとも、もう一つ力強さがありません。むしろ、6月の景気動向指数、機械受注、7月の景気ウォッチャー調査と、このところ弱い指標が続き、景気の夏枯れが懸念されます。

内閣府が8日に発表した「景気動向指数」では、先行指数(以下CI)が前月比で1.7ポイント低下したのをはじめ、一致指数も0.5ポイント低下、遅行指数は2.3ポイントの低下となりました。3か月移動平均で見るとまだ先行、一致とも上向きの形を維持していますが、7月以降の数字いかんでは、怪しい雲行きとなりました。

同じく内閣府が9日に発表した6月の機械受注では、設備投資の先行指数とされる「船舶・電力を除く民需」が前月比8.8%の減少と、大方の予想を上回る減少となり、2か月連続の減少となりました。製造業が15.9%もの大幅減となったのが大きく、非製造は7.0%の減少です。

気がかりなのは「外需の陰り」

なお、外需も12.0%の大幅減となりました。外需の陰りが気がかりです。

4-6月期では前期比2.2%増加となりましたが、7-9月期の計画は前期比0.3%の減少となっていて、政府は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と慎重な判断に修正しました。

米中貿易戦争の影響が不透明なだけに、製造業を中心に、計画が立てにくくなっている面がありそうです。

「景気ウォッチャー」に見る家計の弱さ

もう1つ、内閣府は8日に7月の「景気ウォッチャー」調査を発表しました。

それによると、現況判断は前月から1.5ポイント低下して46.6と、50を大きく下回ってきました。内訳をみると、家計関連が2.1ポイントの低下と大きく、企業関連は0.2ポイントの低下にとどまっています。

つまり、家計需要の弱さが足を引っ張り、これが企業にも波及しかけている形です。

なお、先行き判断は1.0ポイント低下の49.0で、こちらも分岐点の50を割り込んできました。こちらの内訳は、家計関連が1.3ポイント低下、企業関連が1.0ポイント低下となり、雇用関連だけが0.3ポイントの改善となっています。

Next: 日本経済をひっぱるエンジンは「輸出」だけ。これでは安定しない…

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