「外需頼み」の日本経済
日本経済をひっぱるエンジンはこのところ輸出だけという、「単発エンジン」型の経済になっています。
外需が増えないとマイナス成長になるという1-3月のGDPに典型的に表れています。4-6月は外需が押し上げてプラス成長になったと見られますが、この経済構造はかなり歪んでいます。
日本の輸出は昨年78兆円で、540兆円のGDPの14%にすぎません。輸出が50%を占めるドイツや3割を超える中国と比べるまでもなく、主要国の中では、米国と並んで輸出依存度の低い国となっています。
その日本が、成長の多くを輸出、外需に依存せざるを得ないバランスの悪さが目立ちます。
日本だけではやっていけない企業
その原因が日本の人口減少、市場の縮小予想と、労働分配率(企業が生み出した付加価値全体のうち、どれだけ労働者に還元されているかを示す割合)の低下です。
そして、国内市場が個人消費を中心に弱く、企業としても国内市場に期待できないことから、海外市場に頼らざるを得なくなり、設備投資も国内は慎重で海外にシフトする傾向が見られます。
このため、経常利益に対する設備投資の割合も、このところ低下傾向にあり、国内需要は総じて弱くなり、ますます輸出に頼らざるを得ない構図になります。
貿易戦争で唯一の「輸出エンジン」が不安定に…
ところが、米国にトランプ大統領が登場し、対米貿易黒字の大きな中国、日本、ドイツ、メキシコなどを目の敵にして、貿易戦争を仕掛けようとしています。
日本はEUとの間で自由貿易協定を結び、米国抜きでTPP11をまとめるなど、自由貿易圏の確保を進めていますが、ともに輸出の2割を占める米国と中国が、貿易戦争に突入し、日本もこれに巻き込まれる面があります。円安にも注文がついています。
そうなると、もともと輸出という単発エンジンで飛んでいた日本の飛行機は、その輸出エンジンまで出力不足に陥り、全体の推進力が低下しかねない状況になります。
輸出エンジンの代わりになるものはすぐには見つかりません。
せいぜい財政支出による需要の追加くらいで、安倍政権はばらまきに積極的ですが、今の財政事情には限度があります。しかも来年秋には消費増税が予定されています。