ソフト売り切りから課金ビジネスへ大転換!Adobeが描くこれからの成長曲線とは?=シバタナオキ

PhotoshopやIllustratorなどデザイナー必携のソフトウェアを提供するAdobeは、ここ数年で見事にクラウド型のSaaSビジネスに転換させることに成功しています。その強さの秘密を決算から読み解きます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年9月18日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

見事にSaaSビジネスへ大転換。成長を続ける3セグメントを分析

前年比+24%の急成長を続けている

Adobeと言えば、PhotoshopやIllustratorといったデザイナー向けのソフトウェアを長年提供している会社ですが、ここ数年間で、これらのすべてのソフトウェアを見事なまでにクラウド型のSaaSビジネスに転換させることに成功している会社です。

今回の記事では、この見事なまでのクラウドSaaS型ビジネスへの転換について、詳しく見ていきたいと思います。
※参考:Adobe Investor Presentation July 2018(PDFファイル)
※参考:Adobe Q2 FY2018 earnings press release(PDFファイル)

はじめに、売上営業利益の概要を見ておきましょう。

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2018年の3月から5月の四半期において、売上は$2.2B(約2,200億円)となっています。

YoY約+24%で成長しているだけではなく、数字を見れば分かる通り、サブスクリプションの売上が大半を占める形になっています。

営業費用を見てみると、$374M(約374億円)がR&D、つまりエンジニアやデザイナーへの人件費となっており、$664M(約664億円)が営業マーケティング費用となっています。このことから、非常に複雑なソフトウェアを作っている会社に見えるものの、実は営業マーケティングにR&D以上の費用がかかる会社であることが分かると思います。

営業利益は$698M(約698億円)と、こちらもYoY約+24%程度で成長しているという、成長率が異常に高い会社に仕上がっています。

Adobeの3つのセグメント

Adobe Adobeといえば、PhotoshopやIllustratorを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実は3つのセグメントがあります。

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1つ目のセグメントは、上図の左側にあるようなCreative Cloud事業です。この中には、Photoshopや Illustratorといった、いわゆるデザイナーが利用するソフトウェアが多く含まれています。

2つ目のセグメントは、右側にあるDocument Cloud事業です。この中には、PDFを表示編集するためのアクロバットPDFだけではなく、電子署名をするためのソフトウェアなども含まれます。

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3つ目のセグメントは、Experience Cloudと呼ばれる事業で、こちらはいわゆるアナリティクスや、マーケティング支援のためのソフトウェアやサービスが含まれます。

Adobeがこれまで、M&Aで、Omniture(現Adobe Analytics)などのアナリティクス系のソフトや、それ以外にも、広告を効率的に配信するためのソフトウェアを買収してきており、それらがこのセグメントに該当します。

以下では、これらのセグメントを1つずつ詳しく見ていきたいと思います。

Next: デザイナーたちは手放せない。Creative Cloud事業の中身は?

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