楽観と悲観が激しく交差する
リーマン・ショックは金融市場を揺るがした超巨大経済事件だった。あれから10年経った。
金融市場は、だいたい10年ごとに何らかの「ショック」が起きている。そのような歴史的経緯を見ると、「近いうちに何か起きるかもしれない」と人々が考えるのは当然のことだ。
しかし、現在は何も起きていない。それは起きるかどうかも確約されていない。むしろ逆に、株式市場はさらなる高みを目指して上がっていく可能性すらもある。
なぜか。株式市場が好調だと「何か起きるかも」という警告など一笑に付して「今の株価を見ろ。上がってるじゃないか。何を心配しているのだ?」と、より株式市場にのめり込む人が増えるからだ。
株式市場は上昇機運が続いていれば、単に「上がっている」というだけで、より多くの資金が集まって相場をさらに上昇させていく性質がある。
株式市場にしばしば発生するバブルというのは、そうやって形成されていくのである。だから「何か起きて暴落するかもしれない」という懸念はしばしば大きく外れていく。
このような状況の中で人々の判断はぐらつく。高値圏で乱高下が起きるようになるのは、「何を恐れているのだ? 相場は上がっているのだから黙って買え」という人たちと、「上がり過ぎだ。頭を冷やした方がいい」という人たちの意見が大きく交差して、どちらにも信憑性があるからだ。
こうした不穏な状況になるとデマも発生しやすい
こうした不穏な状況になるとデマも発生しやすい。人々は過敏になっているので、悪質な流言も信じられやすくなる心理状態になっている。
「アメリカは経済崩壊する」とか「資本主義は次の暴落で完全崩壊する」という荒唐無稽かつ馬鹿げたデマが広がりやすいのもこのような時期である。
そうやって火をつけて人々が動揺すると面白いと思う人たちが世の中にはいて、意図的に悪質なデマを垂れ流して喜ぶ。そのため、情報はますます混沌として人々は翻弄されていく。
では、悪質デマさえも飛び交う中で、私たちは高値圏を形成する相場にどう向き合えばいいのだろうか。