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トランプの過剰な「中国いじめ」で米株急落へ。米中通貨戦争が世界経済を冷やす日=斎藤満

米株急落の背景には、激化する対中国戦略があります。関税引き上げ合戦にとどまらず、為替も巻き込んだ通商協議となると、市場に新たな不安定要素が加わります。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2018年10月12日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

中国は虫の息。トランプの「やりすぎリスク」が米株に跳ね返る?

金利高懸念だけではない

10月11日(木)の東京で一時1000円を超える株の下落をもたらした米国発の株価不安。その原因は、2月以来の金利高不安とみられています。

確かに、この1週間での米国長期金利の上昇は急で、市場には米国金利がどこまで高まるのかわからない不安も見られました。しかし、この金利不安たけでは、今回の米国株急落は説明しきれません。他にもいくつかの不安要因が複合されているとみられます。

その筆頭がトランプ政権による中国戦略で、市場には行き過ぎた強硬論への不安も聞かれます。その一環として注目されたのが親中派とみられてきたムニューシン米財務長官の発言です。彼は英国のFT紙へのインタビューで、中国人民元の下げに言及、意図的に人民元を下げているとして為替操作国の認定も匂わせ、今後の米中通商協議で、為替の問題も取り上げる意向を示しました。

人民元はこのところ1ドル6.92元台まで下落し、リーマン危機後の安値1ドル7元に迫っています。中国景気の悪化を受けて、人民銀行が先に預金準備率を1%引き下げたことも人民元安につながりました。米国政府はこれを中国の輸出支援策だと批判しています。

米中の関税引き上げ戦争にとどまらず、為替も巻き込んだ通商協議となると、市場に新たな不安定要素が加わります。

中国にとっては困った言いがかり

ムニューシン長官によるこの指摘、中国にとっては2つの面で、胸にナイフを突きつけられたような困った問題になります。

1つは、為替を意図的に下げているわけではないのですが、うっかり当局の意図に反して人民元が下がっていると言えば、市場に攻められて人民元コントロール不能を暴露し、資本の流出、通貨不安、株の暴落という、かつて見た市場の混乱を呼びかねないことです。

実際、中国政府は資本の無秩序な流出をより懸念していて、人民元安で輸出支援をしようという余裕はありません。

もっとも、そのように抗弁しても、現実に人民元は下落していて、これを関税の負担軽減措置と見られても仕方ありません。かといって、為替介入をしてまで人民元を支えるには、ドル準備が潤沢ではありません。外貨準備が足りないと見られれば、これも投機筋の餌食になります。

従って、ムニューシン長官の批判に対しては、人民元を下げ誘導することはこれまでも今後もないと強がるしかなく、その間、人民元があまり下落しないよう、資本規制でのチェックを強めるしかありません

Next: 米国が攻めすぎると世界に跳ね返る? 中国を苦しめるもう1つの問題とは

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