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なぜトランプはサウジ記者殺害の王室をかばう?~原油安は米国によるサウジへの制裁=江守哲

真相よりもサウジとの関係を優先するトランプ

トランプ大統領は声明を出し、カショギ氏殺害事件で「サウジのムハンマド皇太子が事件を把握していた可能性は十分にある」と指摘しました。これはかなり重い発言であるといえます。

その一方で、ムハンマド皇太子が事件に関与したかどうかは明言しませんでした

また、トランプ大統領は、「サウジは揺るぎないパートナーであり続ける」とし、真相究明よりも、対イランなど中東戦略の柱であるサウジとの関係維持を優先する意向を示しました。

これがまさに、トランプ大統領の本音です。

繰り返しますが、複数の米メディアは、ムハンマド皇太子がカショギ氏殺害を命じたと中央情報局(CIA)が結論付けたと報じています。

しかし、トランプ大統領は「われわれは事件に関わる事実のすべてを知ることはできないだろう」としています。

さらに、「ムハンマド皇太子は事件を知っていたかもしれないし、知らなかったかもしれない」とし、ムハンマド皇太子の責任を追及しない姿勢を示唆しました。

明らかに、ムハンマド皇太子をかばっています。

なぜトランプはムハンマド皇太子をかばうのか?

また、サウジへの武器売却についても「米国が中止すれば、ロシアや中国が代わりに巨額の利益を得ることになる」とし、サウジへの武器輸出を継続したい考えを表明しました。

サウジは米国にとって、まさに重要な資金源であり、武器売却を止めるわけにはいきません。トランプ大統領は実を取る方を選んだわけです。

米政府は事件に関わったとして、ムハンマド皇太子の側近らサウジ当局者17人を制裁対象に指定しましたが、米議会からはムハンマド皇太子の責任を問う声が上がっています。

これに対して、トランプ大統領は「議員は自由に行動できる」とし、「米国の絶対的な安全に一致する限りにおいて、議会の提案を検討する」ともしています。

ここに、トランプ大統領の揺れ動く気持ちがうかがえます。

サウジ外相は全力でムハンマド皇太子を擁護

一方、サウジのジュベイル外相は、かなり厳しい言葉でムハンマド皇太子を擁護しようとしています。

ジュベイル外相は、サウジ人記者殺害事件で実力者ムハンマド皇太子の関与が取り沙汰されていることについて、「サルマン国王とムハンマド皇太子はレッドライン、つまり『越えてはならない一線』」とし、「国王と皇太子を傷つけたり、おとしめたりする試みには対抗する」として、事件をめぐる王室指導部への責任追及を断固認めない考えを強調しています。

トルコのエルドアン大統領は「サウジ政府の最高レベルが殺害を命じた」と断定し、ムハンマド皇太子の関与をほのめかして批判を強めていますが、これに対してジュベイル外相は、「トルコ側に発言の真意を照会した際、最高レベルがムハンマド皇太子を指しているのではないと明確に説明された」と主張しています。

さらに、記者殺害を命じたのはムハンマド皇太子だったと米中央情報局(CIA)が結論付けたと伝えた米メディアの報道については、「証拠に基づかないリークであり、全く根拠がない」と改めてムハンマド皇太子の関与を否定しています。

サウジの外相の立場であれば、このような発言をするのは当然ですので、全く驚くことではありません。

しかし、ここまで事態が大きくなり、情報が出てきています。私が言うまでもなく、事実はみなさんももうお判りでしょう

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