fbpx

孫正義氏がQRコード決済に殴り込み!「PayPay」は日本市場で天下を取るか?=岩田昭男

日本にもQRコード決済の大波が来ている。この秋から参戦する「PayPay(ソフトバンクとヤフーの合弁会社)」は戦況を一変させるのか? 今後について解説したい。(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』岩田昭男)

※有料メルマガ『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』好評配信中!ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:岩田昭男(いわたあきお)
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。
岩田昭男の上級カード道場:http://iwataworks.jp/

狙いは現金商売の個人商店? 手数料・初期費用0円で攻勢をかける

実感を伴ってきた「キャッシュレス化」の進展

私が事務所を置いている東京・高田馬場では、今年の4月に喫茶店ルノアールやプロントなどの中堅チェーン店がクレジットカード+非接触ICの共用端末を一斉に導入したことで、キャッシュレス化が進んだ。これまで打ち合わせでルノアールを使うときは、事前に現金を用意しなければならなかったが、これからはそうした面倒がなくなった。

それまではクレジットカードやSuicaが使えるのはコンビニとガストなどのファミレスに限られていたので、財布の中には常に千円札や1万円札を何枚か入れていた。ATMにも2日に1度は通っていた。それが今ではATMに通うのは週1回になった。

今までは買い物や食事の場面において、キャッシュレスと現金払いの割合がほぼ半々だった。それが、キャッシュレスでの支払いが3分の2になり、現金が3分の1に減った。おかげで毎日の暮らしで悩みの種だったお釣りや小銭の処理に困ることがなくなった。

ラーメン屋を筆頭に「現金主義」を貫くお店は多い

しかし、まだ十分ではない。まだまだ「カードお断り(現金のみ)」という店が多い。商店街にある個人商店や飲み屋、ラーメン屋などは依然として現金のみの商売をしている。高田馬場の栄通りや早稲田通り沿いにたくさんあるラーメン店は、軒並みカードお断りだ。

どのお店も手数料を取られるのを嫌がっているのだ。手数料を3~4%とられてその上、来年に消費税が10%になったら儲けなんか吹っ飛んでしまう。そうした個人商店主や中小零細業者にとって、キャッシュレス化はどこか遠い国の出来事でしかない。日本がキャッシュレス比率を高めるためには、こうした店がキャッシュレス化する必要がある

キャッシュレス先進国の中国では、屋台から物乞いまでQRコードを置いている。そして、QRコードが印刷された紙ぺら1枚とスマホを使った決済がいたるところで行われている。日本でもQRコード決済がどこまで普及するかが、キャッシュレスの行方を占うカギになる。

孫正義社長肝いりのQRコード決済サービス「ペイペイ」

先日、そのQRコードを使った新たなスマホ決済サービス「ペイペイ(PayPay)」の取材に行った。ペイペイ(PayPay株式会社)はヤフーとソフトバンクの合弁会社だ。今年の6月に設立されたばかりで、ペイペイを使った店頭でのスマホ決済サービスを今秋から開始する予定。現在は全国に営業をかけ、加盟店開拓の真っ最中だ。

何しろ、ソフトバンクグループ総帥の孫正義社長が陣頭指揮をとってQRコード決済事業に取り組むというのだから、同社の今後の動向が注目される。

ところで、ペイペイという名称は日本人には少し滑稽な感じがするが、シャンシャンやシンシンなどパンダの名前を思い浮かべていただくとよくわかるように、中国では同じ音を繰り返す言葉が多い。

ペイペイは設立直後の7月に、インド最大のスマホ決済サービスの「Paytm」と提携し、今回のスマホ決済サービスの準備を進めてきた。さらに、9月に入ってアリペイとの連携を発表。今後、ペイペイの加盟店でアリペイによるQRコード決済が可能になる。

これによって、ペイペイの加盟店は中国人をはじめとするインバウンド消費の取り込みが見込める。さらにいえば、アリペイを使える加盟店を開拓することがペイペイの第一の目的なのだ。ペイペイという名称にしたのは中国人観光客に親近感を持ってもらうためでは?と考えるのは、うがちすぎだろうか。

Next: ターゲットは個人商店。手数料・初期投資・通信環境が不要のペイペイ

1 2 3 4 5
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー