手数料・初期投資・通信環境など「すべて不要」のペイペイ
スマホQRコード(またはバーコード)決済には、ユーザー(消費者)がコードを提示して店がスキャンするタイプ(ストアスキャン型)と、店(販売業者)がコードを提示してユーザーがスキャンする2つのタイプ(ユーザースキャン型)がある。
このうち前者のタイプは、大手販売チェーンがPOSレジを設置し、クレジットカードや電子マネーを使ってすでに行っていた。そのため新規参入組にとってはあまりうまみがない。そこでペイペイのターゲットは、後者の店舗がQRコードを提示するユーザースキャン型となった。
こちらは、ペイペイが用意したQRコードが印刷された紙を店頭に置いておけばいいだけだから、読み取り端末が不要で初期導入費用がほとんどかからない。特別な通信環境がなくても利用できる。しかも、ユーザースキャン型の決済手数料は3年間無料だ。
このように導入の障壁がきわめて低いことが従来のスマホ決済との大きな違いだ。さらに、クレジットカードの場合は15日~30日後という入金サイトが、ペイペイであれば2営業日後というのも店にとっては大きい(1万円以上)。
なぜ手数料を無料にできるのかといえば、ヤフー広告など他で稼げる手段があることに加えて、決済データをヤフーのリスティング広告などに利用して利益につなげることができるからだ。
ストアスキャン型は手数料を取る。POSレジを導入している大手販売チェーンは、手数料を払うのは当然だという考え方もあり、手数料の支払いを負担に感じていない。逆にいえば、POSレジを導入していないような小規模の現金商売の個人商店や屋台(移動店舗)が、ペイペイの加盟店開拓の対象になるということだ。
ターゲットは現金商売の個人商店
具体的には、ラーメン店や立ち食いソバ屋、居酒屋、クリーニング店などで、いわばキャッシュレスの最後に残った秘境だ。ペイペイによれば、こうした〝秘境〟は全国に数百万店舗もあり、ここを「主戦場」にして、しらみつぶしに営業攻勢をかけていく方針だという。そしていま、何千人もの営業マンが全国に散らばって営業活動を行っている。
「われわれが狙うのはまさに現金払いの店。そこを攻めないとユーザーが増えない。ニワトリが先か卵が先かの問題だが、われわれはまず加盟店を増やすことを取った。そのための手数料ゼロであり、初期投資ゼロ。この秋のサービス開始に向けてどれだけ多くの店を獲得できるかが勝負」とペイペイは意気込む。
加盟店を開拓さえすれば、ヤフーとソフトバンクグループの膨大な利用者が潜在的な顧客として期待できる。「Yahoo!JAPAN ID」を持っている4000万人に、ソフトバンク、ワイモバイルのスマホユーザーなどを合わせると膨大な数になるとペイペイはいう。したがって、ペイペイを使える店が増えれば、利用者はいくらでも増えると強気だ。
これまで「Yahoo!ウォレット」にあったスマホ決済機能は終了し、Yahoo!JAPAN IDと連携させてYahoo!JAPANアプリでペイペイを利用できるようにする、というのが今後のスケジュールである(ペイペイ専用アプリも用意される)。