市場で注目されなかった「大事件」も頭の片隅に
週末の大幅高の前までは、まったく風景は違っていた。
政府が10月の景気判断となる月例経済報告を1年ぶりに引き下げた。これは市場では大騒ぎされなかったが、実は大変大きな事件である。
この報告は55年前から当代一級のエコノミストが集結していた経済企画庁(いまは内閣府の一部)がとりまとめるもの。世界に信用のある景気指標に基づき、その文言を一言一句精査して決めるものである。
もうじき選挙があるからとか、政権支持率のためにとかでさじ加減できる性質のものではない。IMFからもOECDからも信任されている、世界に冠たる折り紙付きの景気指標である。
これによる景気判断を見て失望した海外勢が利食い売りに走っていたと思われる。8月11日に中国人民元の切り下げ以降、世界は大きく下げてその一巡後の戻りに挑戦しているところだが、欧米と比べても日本市場の戻りが一番悪い。
山崎和邦(やまざきかずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院特任教授、同大学名誉教授。
大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴54年、前半は野村證券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12を30年堅持したが今は18)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)、「株で4倍儲ける本」(中経出版)、近著3刷重版「常識力で勝つ 超正統派株式投資法」(角川学芸出版)等。
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