「同じ5000万円くらいでいい!」というBを選んだあなたは?
あなたは5000万円の資産について、自分がこの世からサヨナラするときに、Bの「その間の物価上昇分の実質的な目減りは許容する。同じ5000万円くらいでいい!」と考えているとします。
あなたのふたりのお子さんはすでに独立していて、あなたと配偶者の公的年金を合わせて、毎月20万円の収入があるとします。
でも、セカンドライフを楽しく過ごすためには「あーあ、あと、毎月15万円は欲しいな……」と考えています。毎月のプラスアルファがあと15万円ということは、年間で180万円ですね。
さて、あなたの5000万円のうち、枕を高くして眠るために、投資には回さず、まさかの時も安心な緊急避難用の資金として1000万円はキープしておきます。
つまり「ポートフォリオ」を組むのは4000万円のみ。あなたの「ポートフォリオ」は、国内債券20%、先進国債券30%、日本株式10%、日本を除く全世界株式40%としましょう。
あなたは、4000万円のポートフォリオを運用しながら、年間180万円を部分解約していくことになります。
「えっ、でも、どんなふうに?」ハイ、保有している資産の配分通りにです。
国内債券20%、先進国債券30%、日本株式10%、日本を除く全世界株式40%という、保有するすべての投資信託を、1年に1回つまみ食いするイメージなのです。
資産運用ルール(4)~ポートフォリオからの部分解約は資産の配分通りに
ポートフォリオからの解約は、資産の配分通りに行う。これを堅持することが、すなわち「ポートフォリオを適切に管理する」ということなのです。
さて、「年間180万円を部分解約する!」というポリシーでもよいのですが、あなたにはさらに高みを目指してほしいのです。それは、「パーセンテージで資産を管理する」ということです。
4000万円のポートフォリオから年間180万円を部分解約することをパーセンテージ(引き出し率)に直すと、年4.5%になります。
あくまで長~い時間軸をイメージして欲しいのですが、たとえばポートフォリオを年4.5%で運用できたとして、毎年4.5% 資金の引き出しを行えば、30年経ってもポートフォリオの名目価値は変わりません。
もちろん、毎年の結果リターンはバラバラです。20年、30年という長期でならして考えています。
ちょっと想像してみてください。あなたのポーフォリオが膨らんだ年、すなわち儲かった年は、同じ4.5%でも引き出しの「金額ベース」は増えますね。
逆に、ポートフォリオが縮んでしまった年、すなわちマイナスになった年は、同じ4.5%でも、引き出しの「金額ベース」は減ります。
ココ、想像力が必要です。
ポートフォリオが縮んだ年に、前の年と同じ「金額ベース」で引き出しを行ってしまうと、ポートフォリオの「毀損率」が高くなってしまうのです。
わたしは、「長生きするリスク」に対応するためには、ポートフォリオを「%」で管理する。これが鉄則であると考えます。
その代わり、ポートフォリオがマイナスの年も、必ず引き出しは行ってくださいよ。なぜなら、この「%」によるポートフォリオ管理は、あくまで、あなたが楽しくお金を使うために行うものだからです!
わたしはこの15年間、たくさんのシニアのお客様と相対してきました。そこで学んだことがひとつあります。
それは、人がお金を積極的に使えるのは、60代ということです。わたしが見た限り、70代の半ばを過ぎると、もう人は、なかなかお金を使えません。
資産運用ルール(5)~ポートフォリオから解約したお金は使い切る
その年、ポートフォリオから解約したお金は使い切る。すなわち、お金を使うエネルギーを失わないこと!
29歳のあなたも、44歳のあなたも、58歳のあなたもよーく聞いてくださいよ。仮にあなたがこの世からサヨナラするときに、「65歳時点の資産残高より減っていてもよい」と割り切れるなら、ポートフォリオを年4.5% で運用しながら、60代は毎年5.5%の資金を引き出し、70代は毎年5.0% 資金の資金を引き出し、80代は毎年4.5% の資金を引き出すというアレンジ型でもぜんぜんOKだと思います。
定年退職後も資産運用は続くということは、セカンドライフでも、ポートフォリオのリバランスは続きます。
たとえば、4月と10月にリバランスを行う人は、4月か10月かを年に1度の引き出しの月にしてください。リバランスとポートフォリオからの解約を同時にしてしまうのが、いちばん効率的です。
もちろん「69歳になってリバランスなんて考えたくない」という人は、「世界経済インデックスファンド」のようなバランス型ファンドに資産をシフトしておけばよいのです。
『カン・チュンドの 投資信託 テッテイ 攻略法』2015年11月8日号、11月15日号より一部抜粋、再構成
※太字、見出しはMONEY VOICE編集部による
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