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ヘッジファンドは総崩れ。金融市場全体よりも成績が悪いのにプロと呼べるのか?=矢口新

ブルームバーグのデータによると、ヘッジファンド全体の12月の成績は-1.9%、2018年通年では-5.7%と散々な結果だった。これは金融市場全体よりも悪い成績だ。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』2019年1月9日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

どんな相場でも稼げるのがプロなのでは?2018年は散々な結果に

ヘッジファンド全体の2018年通年成績は「-5.9%」と惨敗

ブルームバーグ・ヘッジファンド・データベースでの暫定値によれば、ヘッジファンド全体の12月の成績は-1.9%だった。2018年通年では-5.7%と散々な結果。金融市場全体よりも悪い成績に終わった。

うち、株式ヘッジファンドが-7.8%、CTA/マネージド・フューチャーズは-7.2%。マルチ戦略や、マクロファンド、イベントドリブンなどもマイナスだった。

リターンがプラスとなったのは、債券ディレクショナルの+0.2%と、債券レラティブバリューの+1.3%のみだった。

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こうした結果を、皆さんはどう見るだろうか?

日本の個人投資家も大苦戦

新聞報道によれば、近年はミセスワタナベも苦戦しているらしい。ミセスワタナベが実在したかどうかは知らないが、一時はFX取引で勝ち組の個人投資家の総称だとされた。それが個人投資家の総称となり、勝ち組どころか、近年は苦戦が続いている。そして、それを示唆するデータがある。

IMMと呼ばれるシカゴの通貨先物取引所は、毎週、オープンインタレスト(売り残、買い残)を発表している。円ロングの先物残高が何枚、円ショート残が何枚、差し引きネットが何枚というものだ。シカゴは米ドル建てなので、円ロングとはドル円ショート、円ショートとはドル円ロング、差し引きネットで、市場のドル円ポジションの偏りが見られる。

2018年中にそのポジションがドル円ショートとなったのは、4月の4週と、5月と6月に1週ずつの合計6週間だけで、後の10カ月半余りは、一貫してドル円ロングだ。それも、ショートは量的にはほんのわずか、ロングを相当規模に膨らませてきた。

このことは、年初のドル円の急落で、相当の痛手を被ったことを強く示唆している。おそらく、ヘッジファンドのCTA/マネージド・フューチャーズの損失も拡大したものと思われる。

IMMは先物、ミセスワタナベが行っているのはFXのマージン取引で、別物だが、どちらも個人投資家が主体という意味で、似たような傾向が見られるとされている。そのIMMのデータがミセスワタナベの苦戦を示唆しているのだ。

Next: ヘッジファンドも大きな痛手。投資のプロではなかったのか?

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