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雲行き怪しいECBの12月緩和~ドイツ財務相ら要人の牽制発言相次ぐ=金融アナリスト・久保田博幸

先月の会見で追加緩和を強く示唆したドラギ総裁。しかしここにきて、ショイブレ独財務相ら要人の牽制発言が相次ぐなど、12月3日のECB理事会での追加緩和実施は不透明な状況となってきました。金融アナリストの久保田博幸氏が解説します。

不透明感漂うECBの12月追加緩和、現実的にはかなり厳しい

追加緩和に意欲も、揺らぐドラギ総裁の発言

10月22日にマルタで開かれたECB理事会後の会見でドラギ総裁は、「今日、事態は変わった。これは必ずしも、特定のこの手段を使うことを示唆しているわけではないが、議論は非常にオープンだった」と述べた。

ドラギ総裁は、採用の可能性がある複数の緩和手段について、「非常に濃い議論」があったとした。

さらに金融緩和の度合いを最新のマクロ経済予測が手に入る12月に再検証する必要があると発言した上で、近い時期の緩和を示唆する「警戒を怠らずにいたい」とトリシェ前総裁が使った言葉を付け加えた。

つまり次回、12月3日のECB政策理事会において追加緩和を打ち出す可能性を示唆した。

追加の緩和手段としては、2016年9月までとしている量的緩和の期間を延長することのほか、銀行が中銀に余剰資金を預け入れる際の手数料(マイナス金利)を拡大することなどを、今回の理事会で協議したこともドラギ総裁は認めた。

ところがその後に、追加緩和の決定にはまだ議論の余地があるとのドラギ総裁の発言があったのである。しかしその翌日に、12月に緩和水準見直しへ行動する意欲と能力があるとも発言し、修正を図ったように思われる。

いずれにしてもドラギ総裁としては12月3日のECB理事会で追加緩和を決定したいようだが、それはかなり不透明なようである。

「緩和的な金融政策はモラルハザードを生み出す」ショイブレ独財務相

ECBは追加緩和策の一環として、資産買い入れの対象に地方債を含めることを検討しているとも伝えられた(ロイター)。

パリやマドリードなどの都市やバイエルンなどの州が発行する債券を買い入れる方向という。ただし、関係筋の1人は、12月のタイミングでは準備が不十分なため、来年3月までに導入される可能性があると話したそうである。

また、ECBのクーレ理事(フランス出身)は、フランスのフィガロ紙とのインタビューで、追加金融緩和に関してECBはまだ決断しておらず、来月の追加緩和を確約しているわけではないと述べた(ブルームバーグ)。

さらにドイツのショイブレ財務相は11日、ECBの低金利政策をめぐって、緩和的な金融政策は「モラルハザード」を生み出す可能性があるとして警告した(ロイター)。

追加緩和に対してドイツなどが反対するであろうことは予想できるが、あらためてドイツの「財務相」がこのタイミングで警告を発したことは、少なくとも12月3日のECBの利下げに向けた動きを牽制しているともみられる。

ECBが12月3日に追加緩和を決定するとなれば、12月15~16日のFOMCでの利上げの可能性を意識した動きともなり、通貨安に働きかけようとする意図がみえみえとなる。

これに対して米国などが警戒したとしてもおかしくはない。

このように12月3日のECB理事会での追加緩和の決定については、技術的な問題を含めて、現実はかなり難しくなっているのではないかと予想され、今後のECB関係者などの発言にも注意が必要となる。

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牛さん熊さんの本日の債券』2015年11月12日号より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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