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節税保険は悪なのか?保険会社が販売停止した経営者向けの生命保険…その被害者とは=奥田雅也

節税は悪いことではないはず…被害者は中小企業経営者

この拡大税制研究会で配布された資料を見る機会があったのですが、この中で国税庁側から「見直しの基本方針」が明示されています。

  • 満期返戻金のない保険商品全般を対象にして単一的かつ普遍的なルールを作る
  • 契約者が把握可能な指標に基づくシンプルなルールとする
  • 課税上弊害がないと考えられるものは全額損金算入という現行の取扱いを維持する

との内容が記載されていました。さらに検討するポイントしては、

  • 現在の個別通達(長期平準・逓増定期・がん・医療)及び文書回答(長期傷害)は廃止して、単一的な資産計上ルールを作る
  • 法人を契約者として役員または使用人を被保険者とする契約のうち保険期間3年以上の定期保険と第三分野保険で、満期返戻金がなく保険料が給与とならない契約を対象にする
  • ピーク時の解約返戻率が50%を超える商品を対象とし、50%以下の商品については全損処理を認める
  • 資産計上の方法は契約から一定期間までで、資産計上額はピーク時の解約返戻率に応じた金額
  • 適用日は以後の契約とすると以後の支払保険料からとするかは未定

との記載がありました。

この内容を踏まえまして、2月14日より大手4社を筆頭に各社ともに全額損金系の商品を中心に販売を停止しました。

一部保険会社では、慎重を期して保険期間10年超の契約はすべて販売停止にしているところもあります。

私が把握しているだけで、すべての保険会社で全額損金の商品は販売停止となり、現在提案中・手続き中の契約も月内ですべての保険会社で停止となります。

これらを踏まえまして「通達がいつ出るのか?」「どんな内容の通達が出るのか?」という憶測が業界内では飛び交っております。

まぁこの内容は未確定要素が多いのでここで書く必要はありませんが、今回の一連の騒動を受けて「誰が一番の被害者か?」という事を書いておく必要があります。

これは間違いなく中小零細企業の経営者が一番の被害者です。

新聞報道では「節税保険」などと事実ではない書き方をして煽っていますが、まずそもそも全額損金の生命保険は「課税の先送り」であって節税にはなりません。

しかも法律が認めている税金が安くなる行為を「節税」と位置づけられるので、節税は悪い事ではないはずです。

それをマスコミ各社は「節税=悪」そしてそれを活用している「経営者は悪い」と連想させるような記事を乱発しています。

Next: 国税局はなぜ、保険商品の販売にストップをかけたのか?

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