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米株市場には楽観的な見方が増加。今こそ「バレンタイン・クラッシュ」に備えよ=江守哲

アメリカ市場はクリスマス・クラッシュから順調に株価が回復し、楽観的な見方が増えています。しかし、米中の経済指標は楽観できない変化が表れつつあるのです。(江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ

本記事は『江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ』2019年1月11日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

米企業の第4四半期決算が好調で、目先の株価は戻り基調

米国株は主要指数15%で戻りいっぱいに

昨年の「クリスマス・クラッシュ」以降の戻りで、市場に楽観的な見方が増えてきたようです。主要株価指数もすでに15%の戻しており、指数の上昇率としてはかなり大きなものになっています。

また、先週から発表されている米企業の第4四半期決算の内容が、思った以上に好調なことも買い安心感につながっているようです。

すでに発表された主要大手行の決算は、そこそこの数字だったといえます。これが目先の株価上昇を後押ししています。

米金融大手6社の18年通期決算が出そろいましたが、米景気拡大で貸し出しが伸びたほか、トランプ政権による法人税減税が追い風となり、6社合計の純利益は前年比75.6%増の1,204億100万ドルと大きく伸びました。

前年は税制改革に伴う一時的な税金費用が発生しましたが、18年はシティグループが黒字転換したほか、純利益はゴールドマン・サックスが2.4倍、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が54.4%増、モルガン・スタンレーが42.9%増と急増しました。

ただし、ウェルズ・ファーゴは預金口座の無断開設など不祥事の影響が尾を引き、収益が伸び悩びました。

金利収入はJPもルガン・チェースが10%増、バンカメが6%増と軒並み好調。貸出量の増加に加え、FRBの利上げ継続で融資業務の利ざや改善が寄与しました。

ただし、年後半の金融市場の混乱で、債券の取引収入はバンカメが8%減、シティは6%減と不振だった。19年は減税による利益押し上げ効果が一巡し、業績鈍化が見込まれます。

さらに世界景気の減速懸念が強まる中、経済環境の変動に備える必要があります。

このあたりの対応に失敗すると、業績が再び悪化することになります。

一方、注目された米動画配信サービス大手ネットフリックスの18年第4四半期決算は、人気スリラーの「バード・ボックス」など独自コンテンツをリリースしたものの、売上高は市場予想を下回りました。

発表当日の引け後の時間外取引で、ネットフリックスの株価は3%下落しました。その後も下げ基調が続いています。急激な戻りの反動が出ているようです。

総売上高は前年同期比27.4%増の41億9,000万ドルで。アナリスト予想は42億1,000万ドルでした。

純利益は1億3390万ドル(1株当たり0.30ドル)で、前年同期の1億8550万ドル(同0.41ドル)から減少しました。アナリストの1株利益予想は0.24ドルでした。

世界の有料契約者数は884万人増加しました。第1四半期は890万人の純増になるとの見通しを示しました。

アナリスト予想は第4四半期が918万人の純増、第1四半期が764万人増でしたが、アナリスト予想に無料体験者数が含まれていないかどうかは不明となっています。

Next: 年明けから、米株が買い戻しされた背景とは?

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