実はこんなに高い「投資商品の資金調達コスト」
A. 「高い利回りの投資商品」に関して、ここでは「詐欺商品ではない」前提で話を進めます。世の中には、確かに高い利回りを出している正当な投資商品は存在します。
質問者の質問の意図としては、「なぜ、高い利回りを約束してまで、海外の企業は社債で借り入れを行うのか?」という意味です。高い利回りを謳う、ということは、企業側からしてみれば、その分、自分たちの利益が減ってしまうので、通常はなるべくコストを安く抑えようとします。
まず「企業が銀行借り入れをしない」についてですが、これは「しない」のではなく、すでにしています。銀行借り入れだけでは必要額を賄い切れない分を社債発行で賄う、ということです。
海外の不動産会社も、銀行からの借り入れは多く行っています。ただし、日本と諸外国との文化的な違いと言えば、日本は「不動産に対する融資が、非常に大きい国である」という点です。
日本の場合は、一般人が普通に組む住宅ローンであっても、不動産価格の9割をローンで組むことができたり、最近は諸費用を含めた105%までを借りることができるオーバーローンなども用意されています。
一方、海外はというと、たとえばシンガポールなどの場合だと、借り入れできるのは、せいぜい物件価格の3〜5割程度です。この数字は、事業者であっても変わりません。
次に、日本の施工会社・ディベロッパーの資金調達方法はどうなっているのかについて、簡単にお話ししましょう。彼らは銀行融資を受ける以外に、「事前に販売会社に部屋を売ってしまう」という調達法があります。
時々、営業電話をかけてくるような不動産販売会社がありますよね?建築会社はそのような企業に先に物件を販売することで、資金を集めているわけです。
イメージしやすいように、事例を挙げてみますと、たとえば全部で30室あり、1区画2,000万円する物件があったとしましょう。土地付きで6億円で建つ物件を、施工会社やディベロッパーは、銀行融資を受けることで自己資金を出すことなく、さらに買い手に先に売ることによって資金を手にしています。
現在、営業電話でかかってくるような物件は、上記の場合でだいたい2,700〜3,000万円くらいの価格で販売することが多いと思います。先に買っている販売業者の仕入れ値は、約2,000万円台前半ですから、物件が売れれば、彼らは1軒につき数百万円の利益を得ます。これが、日本の不動産会社が、設立数年で急成長する一因です。
しかし、これは開発会社側からすれば、値引きによって25〜30%の調達コストがかかっているのと同じです。つまり海外に限らず、日本でも高いコストでの資金調達は行われている、ということです。
資金を調達する際に、銀行融資以外で誰が出資をしているのか、物件購入者が知る術は、ほとんどありません。日本では、不動産会社が社債で調達というのは、あまり行われていないと思いますが、それ以上の調達コストで、資金集めはされているのが実情です。
もちろん、日本の場合は事業に対して融資の比率が高いので、資金の調達比率自体が、そこまで高くはありません。このお話は、あくまでも1例ですが、業者側の実態を知る、という意味で参考になるのではないでしょうか。
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