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トランプが日本に「円高」強制へ、日米通商交渉でさらに投資環境は変化する=近藤駿介

まもなく日米通商交渉が始まるが、注目は「為替条項」だ。ドル高に不満を持つトランプが、日本がいつまでも「異次元の金融緩和」を続けることを黙認するだろうか。(『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』近藤駿介)

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プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。著書に、平成バブル崩壊のメカニズムを分析した『1989年12月29日、日経平均3万8915円』(河出書房新社)など。

欧米が金融緩和に舵を切って投資環境は大きく変化。日本は?

景気鈍化に備える各国の政策当局

2019年度のスタートは主要国の株式市場は総じて上昇する堅調なものとなった。S&P500は7営業日続伸と2017年以来で最長の連続高となり、昨年9月に付けた過去最高値に迫ったほか、NYダウナスダック総合も6カ月ぶり高値で終えた。

堅調な市場を演出しているのは、政策当局が景気鈍化に備えた行動を起こして来ていること。FRBが漸進的利上げの先送りとバランスシート縮小を9月に終えることを明確にしたうえ、金利とバランスシートの正常化を目指してきたECBも利上げを当面見送ることを表明するとともに、実質的に量的緩和の復活を決めた。

そして、中国は景気対策として2兆元に及ぶ財政支出を打ち出すなど、主要国の政策当局は景気悪化に備えて具体的に動き出している

米中貿易交渉の行方や米国政府機関の一時閉鎖の影響などによって経済指標に歪められていることもあり、現状の世界経済がどの程度減速しているのかが不透明な中で、各国が景気対策に乗り出しているということは市場に安心感を与えているといえる。

2月の非農業部門雇用者数が2万人増にとどまり心配された雇用統計も、先週末に発表された3月統計では市場予想を上回る19万6000人増になると同時に、2月分も3万3000人増に上方修正され、2月の統計が一時的な歪みであったことが証明された格好となり市場に安心感を与えることになった。

FRBを始め先進国の中央銀行は景気加速に対応する手段には困らない。金利は極めて低く、中央銀行のバランスシートは膨れ上がっており、利上げもバランスシート縮小も可能だからである。

すでに景気悪化が始まっているとしたら危険…

こうした状況で最も困るのは、景気悪化がすでに始まっていることである。

FRBを除いて利下げの余地はほとんどないうえ、バランスシートを膨らませるのにも限界があるからだ。すでに景気悪化が始まっていたとしたら、景気を後追いする形で金融緩和の必要に迫られ、結果的に手段の乏しさを市場に見透かされてしまう形になりかねない。

3月の雇用統計は、まだ明確に景気悪化が始まっていないということが確認できたという点において、FRBを安心させる内容だったはずである。また、現状の景気鈍化は漸進的利上げの先送りとバランスシート縮小中止というハト派的な金融政策で乗り切れるという「ゴルディロックス相場」の再現を期待している多くの投資家も安心させる内容であったといえる。

この2か月ほどの間で起きた最も大きなファンダメンタルズの変化は、中国とECBが景気鈍化を認めて中国は財政政策を打ち出し、ECBとFRBが金融政策を緩和方向に舵を切ったことである。

こうしたファンダメンタルズの大きな変化は、景気失速懸念を感じていた投資家に安心感を与えると同時に、下火になりかけていたキャリートレード(金利の低い通貨で調達した資金を、外国為替市場で金利の高いほかの通貨に交換し、その高金利で運用して金利差収入などを稼ぐ運用手法)を活発化する可能性を秘めたものである。

Next: 完全に吹き飛んだ利上げ懸念。キャリートレード復活で市場はどうなる?

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