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楽観に傾く米国株は正念場。同様に上昇し続ける、原油価格の背景に変化の兆し=江守哲

原油価格上昇を誘引するさまざまな理由

原油は高値圏での推移が続いています。ブレント原油は一時72.27ドルまで上昇し、年初来高値を付ける場面がありました。

サウジアラビアの原油輸出の落ち込みや米国の石油掘削リグ稼働数、石油在庫の減少から下値が支えられています。

共同石油統計イニシアチブ(JODI)のデータによると、2月のサウジの原油輸出量は前月比27万7,000バレル減で、日量700万バレルを割り込みました。

また、米エネルギー情報局(EIA)が発表した米国内の原油とガソリン、ディスティレートの在庫はいずれも前週比で減少し、特に原油は市場予想に反して4週間ぶりに減少しました。

EIA石油在庫統計では、4月12日までの週の米国内の原油在庫は前週比140万バレル減、ガソリン在庫は120万バレル減、ディスティレート在庫は40万バレル減でした。

原油生産量は日量1,210万バレルで、前週比10万バレル減でした。原油輸入量は日量5,999万バレルで、前週比60万バレル減となっており、これも材料視されやすいといえます。

ただし、石油製品需要は日量1,989万バレルで、前週比42万バレル減でした。

一方、2月の米国の原油輸出量は日量299万バレルと、1月の257万5,000バレルから増加しました。これは上値を抑える要因になりやすいといえます。

また、米国内の石油掘削リグ稼働数が前週比8基減の825基となり、3週ぶりに減少したことも材料視されています。

これらから、シェールオイルの生産が引き続き伸び悩むと予想されています。リグ稼動数の前年同期は820基でした。

リグ稼動数は過去4カ月で減少しています。パーミアン盆地などシェールオイルの主要生産地では、第4四半期の原油価格の下落を背景に生産が伸び悩んでいます。

また、独立系のシェールオイル生産者の多くは、生産拡大でなく利益拡大を重視するよう投資家から圧力を受けているもようです。これらも下値を支える材料になりやすいといえます。

さらに、リビア国内の戦闘やベネズエラおよびイランの輸出減で、供給逼迫に対する不安感も下値を支えています。

リビアではハフタル司令官率いる軍事組織と国際社会に承認されている暫定政権の戦闘の影響で、供給減少の公算が大きくなっています。

また、米国の制裁対象のイランとベネズエラでは既に原油輸出が減少しており、海運データと業界関係者によると、4月のイランの輸出量は日量ベースで今年の最低水準に落ち込んだもようです。

Next: この先も、原油価格は上昇をキープすることができるのか

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