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楽観に傾く米国株は正念場。同様に上昇し続ける、原油価格の背景に変化の兆し=江守哲

金は続落、原油は高値持ち合い

金相場は下落しました。

ムニューシン財務長官が、米中通商協議が最終段階に近づいていることを期待していると発言したことで、米中両国が貿易摩擦解決に向かっているとの兆候から投資家心理が改善され、安全資産の金に対する需要が減少しました。

また、堅調な米経済指標や予想よりも良好な米企業業績を受けて、株式などのリスク資産の需要が強まり、ドルが上昇したことも圧迫要因となりました。

さらに、中国の経済統計を受けて、世界成長への懸念が和らいだことも金の売りを誘いました。

米小売売上高の堅調さを受けたドル高が、欧州の経済指標の弱さを打ち消したことから、18日には一時1,270.63ドルと、昨年12月27日以来の安値を付けました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は4月12日の757.85トンから18日には751.68トンに減少しました。投資家が金ETFの保有高を減らす動きが続いています。

COMEX金先物市場での大口投機筋の4月16日時点のポジションは5万6,273枚の買い越しとなり、前週から4万9,091枚減少しました。

買いポジションが1万6,294枚減少し、売りポジションが3万2,797枚増加したことで、買い越し幅が大幅に拡大しました。金相場の下落で投機筋は大幅に買いポジションを減らしています。

このような状況ですが、金相場は底値を固める展開を想定しています。

中国の経済指標の改善や財政出動が景気を支えるとの楽観的な見方が広がり、株式市場が堅調に推移しています。

投資家は再びリスク選好の動きを強めており、これが金市場からの資金流出につながっているようです。

その結果、金相場は上値を切り下げる形で2月以降は下落基調が続きました。ただし、これまでの下落でテクニカル的には売られすぎ感が強まっています。

また、長期的な上昇トレンドを維持するために必要と考えられる1,270ドル前後のサポートも辛うじて維持しています。

一方で、金融市場には楽観的な見方が支配的となっており、米国の主要株価指数は史上最高値の更新をうかがう水準まで上げてきました。

しかし、米主要企業の第1四半期決算は久しぶりの減益が予想されています。すでに発表された決算内容は予想を超えるものが多く、第1四半期の減益幅は、当初の予想から改善されています。

今後はこの傾向が続くかを確認することになりそうです。

米国株にはすでに割安感はなく、むしろやや割高な水準になりつつあります。したがって、決算内容次第では、株価の調整が進み、投資家のリスク選好の動きが反転する可能性も十分にあると考えられます。

その場合には、金市場への関心が再度高まることになると考えます。

その結果、1,280ドルを超える展開となれば、投機筋の買い戻しを巻き込み、上昇基調が強まることも想定されます。

Next: 現在、上昇が続く原油価格の背景とは?

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