「中国製造2025」が癇に障る米国
「中国製造2025」は「3ステップ」で製造強国になるという戦略になっています。
- ステップ1:2025年までに製造強国の仲間入り
- ステップ2:2035年までに製造強国の中位レベルに到達
- ステップ3:建国100周年の2049年までに製造強国の先頭グループに入る
世界の安価な労働力でGDPを押し上げ(世界の下請工場)、その後は世界の消費国としてGDPを押し上げ、仕上げは、世界の製造業の地位を得ようというのが、中国経済発展のプロセスです。上記3ステップは、その最後の仕上げである製造強国になるための工程表になっています。
また「中国製造2025」は、「9大戦略目標」展開と「5大プロジェクト」に重点を置いています。
<9大戦略目標>
- 国家製造業イノベーション能力の向上
- 情報化・工業化融合の深化(スマート製造)
- 製造業分野の基礎技術強化
- グリーン製造の全面推進
- 10大重点産業分野の革新的発展
- 品質・ブランド構築の強化
- 製造業構造の調整深化
- サービス型製造と生産性サービス業の発展
- 製造業の国際化水準引き上げ
<5大プロジェクト>
- 工業基礎力強化プロジェクト
- 製造業イノベーションセンター設立プロジェクト
- スマート製造プロジェクト
- グリーン製造プロジェクト
- ハイエンド設備イノベーションプロジェクト
工業基礎力強化プロジェクトの中身は、「9大戦略目標」の(1)〜(5)です。またハイエンド設備とは、国民経済や国防安全の核心として進めるものとなっています。
さらに、10大重点産業分野として、次世代情報技術(1分野)、ハイエンド設備(7分野)、新材料(1分野)、バイオ・医療(1分野)を指定しており、それぞれ以下になります。
- 次世代情報通信技術
- 先端デジタル制御工作機械とロボット
- 航空・宇宙設備
- 海洋工程設備・ハイテク船舶
- 先進軌道交通設備
- 省エネルギー・新エネルギー自動車
- 電力設備
- 新材料
- バイオ医療・高性能医療機器
- 農業機械設備
どれも米国が得意として今まで世界を牽引してきたものばかりです。
その地位に中国が急速に迫ろうというのですから、米国としては黙っているわけにはいかないでしょう。