広東・香港・マカオベイエリア(粤港澳大湾区)発展計画
そんな環境下で2019年2月18日、中国共産党中央委員会および国務院は、広東・香港・マカオベイエリア(粤港澳大湾区)発展計画の綱要を発表しました。
中国本土の広東省と香港、マカオの一体的な発展をめざす大経済圏構想「大湾区計画」は、省都・広州、ハイテク企業が集積する深圳(しんせん)、国際金融センターの香港、カジノで有名なマカオを中心都市と設定し、経済連携を深めるもので、計画全域の域内総生産(GDP)は約1.644兆ドル(約184兆円)で、カナダの経済規模に相当します。
「広州-深圳-香港-マカオ」科学技術革新回廊の建設を推進し、人材、資本、情報、技術などの革新要素の地域の枠を超えた流動および地域間での調達にプラスとなる政策措置を模索し、広東・香港・マカオ大湾区ビッグデータセンターと国際化革新プラットフォームの協同建設を行おうとしています。
広東・香港・マカオベイエリア(粤港澳大湾区)発展計画綱要は、地域レベルの株式取引市場をよりどころとして、科学技術革新金融支援プラットフォームを構築し、知的財産権の証券化に向けたテスト事業を展開するよう提起しています。
<スマートシティ圏を構築>
また、次世代情報インフラを構築し、スマートシティ圏を構築し、サイバーセキュリティのレベルを引き上げることを提起しています。
広東、香港、マカオ間のインターネットブロードバンドの拡大を推進し、インターネットプロトコルバージョン6(IPv6)に基づく次世代インターネットを全面的に展開し、インターネットバックボーン、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、アクセスネットワーク、インターネットデータセンター、サポートシステムからなるIPv6のバージョンアップ・改良を推進することを提起しています。
さらに広東・香港・マカオ間の携帯電話の長距離・ローミング料金の引き下げを推進するとともに、同料金廃止の実行可能性(FS)研究を積極的に展開し、スマートシティ建設に基礎的支援を提供しようとしています。
<銀行、証券、保険会社の相互支援体制を確立>
このエリアは1国2制度、3つの関税エリア、3つの通貨という条件の下で建設されていて、世界でも前例のないなかで、金融業の発展について、国際金融ハブを建設し、特色ある金融産業の発展に力を入れ、金融市場の相互接続を秩序をもって推進することを目指しています。
さらにb>同区内での地域の枠を超えた人民元の利用規模、利用範囲の段階的拡大を目指そうとしています。
域内の投資円滑化のために、銀行・証券・保険会社の相互支援体制を確立します。
<「中国製造2025」実現モデル区域としての実証の場>
次世代情報技術、バイオ技術、先端設備製造、新材料などを発展させ大きくして新たな基幹産業とし、新型ディスプレー、次世代通信技術、5Gとモバイルインターネット、タンパク質を利用したバイオ医薬品、先端の医療診断装置、遺伝子検査、現代中医薬、スマートロボット、3Dプリンター、北斗衛星の応用といった重点分野において一連の重大産業プロジェクトを育てることを推進します。
まさに「中国製造2025」実現モデル区域としての実証の場とも言えそうです。
もう中国側は、計画的に「中国製造2025」を推し進めています。ここまで巨額な投資もなされていて、いまさら米国に言われたからと言って引き返すことはできません。
ただ米国にとって、この「中国製造2025」がどれだけ恐怖かはよく分かりますし、米国は防衛面ではすでに「サイバー領域」で中国の後塵を拝しているとも言われていますが、当然それは認めることはできないでしょう。