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北朝鮮崩壊のカウントダウン~あえて核実験をやらせた米中の狙い=高島康司

米中は事前に察知しながら北朝鮮にあえて核実験をやらせた

今回の核実験は水爆ではなく、規模から見て通常の原爆ではないのかという見方が出ているが、おそらくそうであろう。

だが、それはあまり重要ではない。日本では今回の水爆実験をアメリカ、中国、日本、韓国、ロシアなどの国々がまったく知らなかったと報道されているようだが、むしろ重要なのは、少なくとも高性能の軍事衛星を保有するアメリカ、中国、ロシアは北朝鮮の動きを早くから察知しており、実験の実施時期も知っていた可能性が高い事実だ。

事実、米NBCは米軍はすでに2週間前から核実験に向けての動きを察知していたと報じている。間違いなく中国やロシアも察知していたであろう。

例えば、2013年2月に実施された第3回の核実験と比べると、各国の対応には大きな違いあることが分かる。2013年には1カ月以上も前からアメリカも中国も核実験の実施を察知しており、情報を公表することで北朝鮮が核実験を実施しないように強い圧力をかけていた。

しかし、今回はそうした情報を知りながらも、アメリカも中国も北朝鮮に事前に圧力をかけた形跡がない。おそらく米中は、今回の水爆実験のみならず、水爆開発に向かう北朝鮮の長期的な動きを数年前から察知していたと考えてよいだろう。

そのような推察が成り立つとするなら、米中は北朝鮮にあえて水爆実験をやらせたと考えてよいのではないだろうか。

北朝鮮封じ込めと崩壊論、2つの落しどころ

そのように見ると、2014年から突然と始まった日韓関係改善に向けてのアメリカからの圧力や、こじりにこじれた「従軍慰安婦問題」の昨年末までの不可逆的な解決を求める圧力などの動きは、1月6日の水爆実験を予期した動きであると見た方がつじつまが合う。

前々回の記事で紹介した昨年末までの日韓合意を促すきっかけになった「外交問題評議会」のレポートには次のようにある。

もちろん、日韓関係の難局に(アメリカが)直接介入することはリスクとなるが、すでに北東アジアの国際関係の変化は、日本と韓国というアメリカにとってもっとも重要な同盟国の関係悪化のコスト高く引き上げている。

つまりこれは、北東アジアでは、日韓関係の悪化を容認できるような悠長な状況ではないという判断だ。これは昨年の12月20日に出たレポートだが、水爆実験が年初に実施されることを予期した上で書かれたとするなら、十分に納得できる内容だ。

このように、アメリカと中国が北朝鮮の処遇の長期的な目標を持っているとするなら、その最終目標がもっとも気になるところである。

さまざまなメディアの記事や、シンクタンクが出している有料レポートなどを見ると、最終目標に関しては2つの異なった見方があることが分かる。

(1)北朝鮮封じ込め論

核武装した北朝鮮に対しては軍事的なオプションは使えない。北朝鮮が妥協できる選択を残しつつ、北朝鮮を6カ国協議に引っ張り出し、北朝鮮を封じ込める方法を模索するしかない。それは、北朝鮮を核保有国として認めた上で、これを管理する国際的な枠組みである6カ国協議に参加させ、管理することだ。

(2)北朝鮮崩壊論

実は軍事的なオプションを使わないでも、キム・ジョンウン体制は崩壊の瀬戸際である可能性が高い。アメリカ、中国、韓国、日本、ロシアなどの関係各国は、難民の大量発生や北朝鮮軍暴走のリスクを恐れ、キム・ジョンウン体制を崩壊させることを極力回避してきた。

だが、北朝鮮崩壊のリスクは関係各国が協調して対応できる程度であり、中長期的に見ると北朝鮮を韓国に吸収させ、統一朝鮮の形成に向けて動いた方が、メリットは大きい。

Next: 従来の見方「だれも望まない北朝鮮の崩壊」は本当か?

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