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北朝鮮崩壊のカウントダウン~あえて核実験をやらせた米中の狙い=高島康司

従来の見方「だれも望まない北朝鮮の崩壊」は本当か?

アメリカの外交誌などを読むとこの2つの見方があるようだが、日本ではもっぱら(1)の「封じ込め論」だけが報道されている。これは従来からある北朝鮮論を踏襲した見方だ。

ここで簡単に、従来の北朝鮮論を確認しておいた方がよいだろう。北朝鮮は人権無視の残虐な軍事独裁国家で、北東アジア最大の脅威であることは間違いない。しかし、北朝鮮が崩壊し韓国に吸収されることをアメリカ、中国、韓国、日本が支持することは困難だ。

それというのも、北朝鮮崩壊によって膨大な数の難民が、いまのヨーロッパに殺到するシリア難民のように日中韓の3カ国に押し寄せる可能性が高いが、どの国もこれに十分に対処することは不可能だからである。

どんなに独裁的な軍事国家であっても、北朝鮮の体制を温存したほうが混乱のリスクはずっと少ない

また中国から見ると、徹底的に反米の北朝鮮という国家の存在は、中国の安全保障にとってとても重要である。北が韓国に吸収される形で朝鮮半島が統一されると、米軍基地が中国の東北部近辺に設置される恐れがあり、中国にとって大きな脅威となる。北朝鮮の存在は、中国にとっては米軍から守ってくれる緩衝地帯の役割を果たしている。

さらにアメリカから見ても、北朝鮮は便利な存在である。ちょっと刺激すると北朝鮮は過剰に反応して、ミサイル発射などの軍事的な行動に出るので、北東アジアの緊張を簡単に高めることができる

この緊張の存在は、日本や韓国などに米軍を駐留させるためのよい口実になる。北が脅威である以上、米軍は日本と韓国に駐留しなければならないというわけだ。これは、米軍産複合体の利益となる。

このように、どの国から見ても北朝鮮が国家として存続したほうが、都合がよい。しかし、北朝鮮が軍事的に暴発するとリスクは高まるので、北を存続させながら、軍事的な脅威を管理する体制が必要になった。それが、米中韓日ロの5カ国が北朝鮮と協議する6カ国協議である。

これが、北朝鮮に関する従来の共通した認識であった。1月10日、1990年代にクリントン政権の国防長官であったウィリアム・ペリーが「どのように北朝鮮を封じ込めるか」という論文を発表し、(1)北にこれ以上の核兵器を作らせない、(2)いま以上の高性能な核兵器を作らせない、(3)核兵器を他国に輸出させないという「3つのノー」を順守させるならば、北朝鮮を核保有国として認めてやり、平和条約を締結してもよいのではないかという主張を展開した。

これまでアメリカは、6カ国協議の目的は北朝鮮に核兵器を廃棄させることだと強く主張していたので、かつての政府高官が北の核保有を容認したことは、これからアメリカがこの方向へと政策転換する予兆なのではないかと見られている。

ということでは、北朝鮮問題の落しどころは、北を核保有国として認めた前提で成立する北東アジアの新しい秩序だということになる。

たしかにこれは、核兵器廃棄を強く求めたアメリカの方針からは大きな転換である。しかし、北朝鮮の国家としての存続を前提にしていることでは、従来の北朝鮮に対する見方と大差はないように見える。

少なくとも2014年10月から始まり、昨年末までに「従軍慰安婦問題」の不可逆的な解決を迫る強い圧力をかけてきたアメリカの態度を見ると、北朝鮮を核保有国として認めるという方向がアメリカの真意とは考えにくい

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