増資さえ止まれば上昇は時間の問題
それではなぜこれだけ割安に放置されているかというと、ひとえに増資懸念があるからです。合理的であるかどうかにかかわらず、株式で増資があると株価が下がることは定説となっています。
しかし、同社の価値は間違いなく増加しています。そのため、長い目で考えるといずれ株価は価値に近づいてくるはずです。
それがいつになるかを正確に予測することは困難ですが、わかりやすいのは毎年の増資が止まった時でしょう。価値は明らかであり、指標面でも割安を示しているわけですから、増資懸念さえなければ株価は上がるはずです。
新規投資額は2016年度1,400億円、2017年度1,300億円、2018年度800億円と徐々に減少しています。これまで急速な拡大を続けて来ましたが、そろそろ落ち着いてもいい頃だと思われます。国内不動産の取得はすでに一服し、保有不動産の売却に転じれば、含み益が利益として顕在化することになります。
もし増資が止まらなかったとしても、株式の価値が減ることはないので気を揉む必要はありません。問題は、市場がいつ価値に気づくかということだけです。都心部の賃貸物件中心のため、不況の影響も受けにくいビジネスモデルです。
明らかに割安であり、価値の減少も考えにくいため、長期保有にうってつけの銘柄と言えます。安くなったら買って、気長に待っていれば良いでしょう。
<2019年5月31日コメント>
ユニゾHD<3258>の筆頭株主に、HIS<9063>が初めて登場していることが明らかになりました。
保有比率は4.52%です。これを受けて、株価は上昇しています。
HISに問い合わせたところ、ユニゾHDの財務内容を踏まえた「純投資」との回答でした。もちろん、戦略提携の目的があったとしてもそうとは言えません。今後何らかの動きが出る可能性があります。
もし何もなかったとしても、保有資産に対してなお大幅に割安だと捉えています。HISの澤田会長は株式投資で起業資金を稼いだ強者であり、「純投資」というのもあながち嘘ではないかもしれません。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年7月10日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。