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想定通りの年金破綻、政府は寿命100年を吹聴して定年廃止を画策している=池田清彦

大きく話題になった「老後2000万円」問題は、夏の選挙でも争点になってきています。改めて整理すると、金融庁は5月22日に「資産寿命」についての初の指針案をまとめ、その中で「少子高齢化により年金の給付水準の維持が困難」と明言し、さらに国民へ「自助」努力を呼びかけたことに批判の声が殺到しました。政府はこの報告書を受け取らないとしてまた騒動になりましたが、「努力義務」の定年延長もいずれ「義務」に変わり、使えない老人を抱えた非効率な企業の収益は悪化し国力はますますジリ貧になると警告するのは、CX系「ホンマでっか!?TV」でもおなじみ、メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』の著者で生物学者の池田清彦教授。池田教授は、年金の財源確保策と、ポスト工業化社会に必要とされる人材を排出するために必要な教育について持論を展開しています。

※本記事は有料メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』2019年6月30日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

今さら遅い。年金の財源が破綻するのは30年前から分かっていた

老人を無理やり働かせるのはやめよう

年金の財源が破綻することはもはや自明なので、政府は、近い将来、平均寿命が100歳になるといったウソ話を吹聴して、高齢者を働かせて、なるべく年金を支払わないで済むような制度を作ることを画策しているようだ。

現行法では、企業は60歳から65歳までの希望者全員に雇用義務がある。企業の選択肢としては、

1. 定年延長
2. 定年廃止
3. 契約社員

などでの再雇用、の3つがあるが、企業も義務というので、仕方なく政府の言うことを聞いているだけで、実は雇いたくない人もいるだろうし、雇用するにしてもなるべく安い給料で雇いたいだろう。働く方も年金が思うように出ないので、嫌々働いている人も多いと思う。企業が、高給を支払っても雇用したいという人はごく少数だろう。

私の多くの虫友達は、定年になって、自由時間が増えて、好きな時に好きなところに虫採りに行きたい、という人が大部分で、定年になっても、働きたいなんておかしな人はまずいない。年金がもらえないので働かざるを得ない人が大部分だ。余裕のある人は定年前にとっととやめて虫採りに専念している。そういえば『バカの壁』の養老さんも定年前の57歳で東大教授を辞めてしまった。私は70歳の定年まで勤めたが、ほとんど、自由業に近い勤務形態だったので、ストレスを感じなかっただけで、普通の人から見れば例外である。

いよいよ財源が逼迫することが目前に迫ってきたからか(国民年金と、厚生年金の財源を株を買い支えるために注ぎ込めば、そのうち破綻するわな)、65歳では足らず、70歳まで年金を支払わないようにするための布石として、上記した定年延長などの3項目に加え、

4. 他企業への再就職支援
5. フリーランスで働くための資金提供
6. 起業支援
7. NPO活動などへの資金提供

7項目を企業の努力義務とする法改正を行う方針だという。 最初は、努力義務でもしばらくすれば、努力が抜けて義務になるのは現行法を鑑みれば大いにあり得るだろう。企業としては、本人が希望したからと言って役立たずの老人を雇用するのは勘弁してもらいたいと思うだろうし、他企業への再就職支援といっても、そういう人を他の企業が雇ってくれるとは思えない。そうかといって、フリーランスで働きたい人に資金を提供しても、上手くいかなくて資金回収もままならなくなる恐れの方が強いだろうし、60代の後半になって起業する老人もそんなにいるとは思えない。NPO活動への資金提供に至ってはほとんど絵に描いた餅だ。

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