学生にとって不利な情報を勝手に企業へ売り飛ばす非道さ
そもそも就活というのは、残念ながら優秀で採用したいという学生のところに内定が集まりやすく、内定の取れない学生は長期の就活に従事するというきわめて理不尽なプロセスとなっています。
複数の内定が取れる学生もそれは結果論であって、どこから内定をもらえるかは、すべて受験してみないことにはわからないという非常にファジーな部分を伴っています。
一方、企業の方も1人の採用に賭ける費用はかなり高いものについていますから、予定人数を採用できないことは人事担当者の評価にもつながることから、とにかく内定を出しても辞退しない学生を最初から確保したいと思うのは今に始まった話ではないものがあります。
これまで各社とも同業他社で自分より大手のところを受けているかどうかなどを学生から引き出すことで辞退するかどうかを判断してきたものと思われますが、そこに目をつけたのがリクルートキャリアのAI判定サービスというわけですから、非常にかゆいところに手が届くサービスになっていると言われればその通りともいえるものがあります。
ただし、倫理的にみればとんでもない話で、まったく断りもなく学生のデータを利用して、せっかく利用する学生が不利になる情報を企業に提供しているのですから、学生が怒り、不安に思うのは当たり前の話です。
まぁこのAIサービスのダメさを笑っては真剣な就活生たちに申し訳ないですが、この会社リクナビを積極的に使わない学生さえも内定辞退しそうな学生として売り飛ばしていたそうで、典型的な就活市場荒らしの様相を呈してきています。
提携サイトの閲覧履歴も取得・利用という念の入れよう
パソコンのネット閲覧履歴やCookieはすでに広告配信などのために非常に活発に利用され、二次利用のために売り飛ばされているデータも莫大な数量になっているのが現実です。
このリクルートキャリアも案の定、提携先サイトの閲覧履歴さえも取得してその精度を上げていたという事実が判明しています。
早い話が、提携先の他社の閲覧履歴の個人情報を、自社の顧客に無断提供していたことになるわけです。
こうなるとネット上のデータビジネスの悪事の限りをつくした究極のサービスであったことがいまさらながらに理解できるわけです。