これまでと様相が異なる年初からの相場局面
それは理論株価自体が昨年12月以降急速に低下していることです。
これは理論株価の説明要因である予想1株当り利益(予想EPS)と米ドルレートがどちらも低下しているためです。
下図は昨年8月以降の予想EPSと米ドルレートの推移を示したものです。
図中の縦線は2015年12月1日の位置を示します。
この時点から直近の2月15日までに予想EPSは141円76銭から129円21銭まで10.5%、米ドルは123円15銭から113円65銭へ7.7%下落しています。
これを受けて理論株価は10.7%の下落です。そして日経平均は約2倍の19.9%の下落となりました。
今後、安全資産としての円への資金流入による円高が進み、先行きの業績予想がさらに低下するとすれば理論株価の低下は続きます。日経平均はこうした懸念を先取りしているのかもしれません。
あるいは業績、為替が現状で維持されるならば日経平均は理論株価に向かって戻る可能性があります。その場合は日経平均は1,500円程度上昇することになります。
こうした状況を背景に市場のセンチメントの変化によって株式相場の変動が増幅された結果が年初からの荒い値動きと見ることができそうです。
日経平均は業績、為替といったファンダメンタルズの不確実性と市場センチメントの変化の間でもがいているように見えます。
日々の動きに一喜一憂せず大きな目で相場を見ることが常にも増して肝要な局面と言えそうです。
『投資の視点』(2016年2月16日号)より一部抜粋
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