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日本株市場に新たに台頭してきた買い手とは?着実に増加してきた自社株買いの背景=若林利明

静かなる株式取得…取得のタイミングは株価調整期が中心

株主還元、M&A対策、役員、従業員むけ株式報酬制度等が自社株買いの目的とされています。とくに株主還元が最近強調されることが目立つようです。自社株買いにより取得した株は、一般的に金庫株と呼ばれます。そしてそれを消却することは、株主にとって歓迎すべきことになります。

計算上発行済み株式数は分母であり、分子に当たるのは純利益、純資産です。つまり、消却すれば一株当たりの利益(EPS)あるいは一株当たりの純資産価値(BPS)をより大きくすることになり、必然的に株価の底上げに通じることになるからです。この金庫株について、消却することなしにそれを有効利用することも可能です。当該企業がM&Aにより、ある会社の子会社化を目論む場合、新株発行を利用する場合もありますが、金庫株を使うことも可能となっているのです。

無論、株価操縦とならないためのいくつかの制約要因がありますが、それに準拠して実行されるとなれば、それは自社株式の有効利用となります。キャッシュフローが発生しないこの取引は財務的にも利点が多いといえます。

事業会社の自社株購入の動きはこうしてみると社会経済情勢を大きく反映したものです。その動きは当面継続すると思われます。投資家の立場からしても、市場株価に潜在的に根強い買い需要が生まれることは歓迎です。事業法人による自社株買いは目先の投資成果を求める内容で行われることはありません。

その購入動機から、じっくり株価に波風を立てないようにするという暗黙の了解のもとに進められていると思われます。前段の棒グラフを見ると外国人投資家の売り越し額が膨らむとき、事業法人の買いも膨らんでいるようです。結果的に程よい押し目買いとなっているようです。

※本記事は有料メルマガ『資産運用のブティック街』2020年1月7日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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資産運用のブティック街』(2020年1月7日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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