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新規上場の恵和は、ワークマンで注目高まるアウトドア用新素材開発でさらなる成長へ?

体験の構築

用事が特定できたら、次になすべきことは、顧客がなし遂げようとしている進歩に伴う体験を構築することです。製品・サービスの購入時や使用時におけるすぐれた体験が、顧客がどの製品やサービスを選ぶかの基準になるからです。では、同社はどのような体験を構築すればいいのでしょうか。

顧客がアウトドア用ウエアを雇うとする際に障害となり得るのは、一つには、長い間屋外で使っているうちにウエアが変形、変色、劣化等の変質を起こすことです。その点、同社グループは、対候性の機能を付加した包装資材、産業資材を開発するノウハウを有しています。これを、ウエアなどの素材開発に応用すればいいのです。

いずれにしても、こうした障害が取り除かれれば、顧客は「手頃な価格で高機能なアウトドア用のウエアやテントなどを長い間使い続ける」という、ある意味ですぐれた体験ができるようになるでしょう。

プロセスの統合

最後は、顧客がなし遂げようとしている進歩のまわりに社内プロセスを統合し、顧客に対して彼らが求める体験を提供します。そうすることにより、プロセスは摸倣が困難になり競争優位をもたらすのです。

同社グループにとって、新たな販路の開拓の一つとして、アウトドア向けの衣料を扱う新型店「ワークマンプラス」の展開を加速させているワークマンがいいかもしれません。その際、顧客の指名買いを促すという意味でも、「ゴアテックス」のように登録商標を取得して商品にタグをつけることは得策となり得ます。

では、同社グループがこうした新規事業に取り組むのであれば、業績の評価基準をどうすればいいのでしょうか。クリステンセン教授たちは次のように指摘しています。

ジョブ理論は、プロセスを何に合わせて最適化するのを変えるだけでなく、成功の尺度も変える。業績の評価基準を、内部の財務実績から、外部的に重要な顧客ベネフィットの測定基準へと移す。

・顧客の行動について集めたデータは、客観的に見えてもじつは偏っていることが多い。データはとくに、ビッグ・ハイア(顧客がなんらかのプロダクトを買うとき)だけを重視し、リトル・ハイア(顧客がなんらかのプロダクトを実際に使うとき)を無視している。ビッグ・ハイアが、顧客のジョブをプロダクトが解決したことを意味する場合もあるが、本当に解決したかどうかは、リトル・ハイアが一貫して繰り返されることによってしか確認できない。

この指摘を踏まえるのであれば、同社グループはリトル・ハイア「顧客が同社グループのウエアを着た回数」を業績の評価基準とするのが得策だということになります。なお、同社グループの商品にゴアテックスのようにタグがついていれば、定点観測である程度はリトル・ハイアを確認することはできます。

【参考文献】

・クレイトン・M・クリステンセン他[著]、依田光江[訳]『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』(ハーパーコリンズ・ジャパン)
・クレイトン M.クリステンセン『C.クリステンセン経営論』(ダイヤモンド社)
・クレイトン・M・クリステンセン『医療イノベーションの本質─破壊的創造の処方箋』(碩学舎ビジネス双書)
快走ワークマン株、「プラス」大ヒットゆえの悩み‐日本経済新聞(2019年12月30日公開)
ワークマンの新型店「プラス」 創業の群馬で展開加速‐日本経済新聞(2019年11月14日公開)
・TBS「がっちりマンデー」(2019年5月12日放送)
・Wikipedia(耐候性)
・Wikipedia(ゴアテックス)
・有価証券届出書(新規公開時)


本記事は『イノベーションの理論でみる業界の変化』2020年1月7日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方は、バックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

image by:Jacob Lund / Shutterstock.com

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イノベーションの理論でみる業界の変化』(2020年1月7日号)より一部抜粋

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クリステンセン教授たちが練り上げた「片づけるべき用事」の理論は、これまで不可能とされてきたイノベーションの予測を可能にし、その効果はアマゾンのベゾスらによっても確認されているといいます。3年目になる2018年からは内容を刷新し、従来のMBAツールとは一線を画すこの優れた理論を使い、各業界におけるイノベーションの可能性を探ります。これはイノベーションを生み出すための「思考実験」にもなります。なお各号はそれぞれ単独で完結(モジュール化)しているので、関心がある業界(企業)を取り上げた号を購読していただけます。

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