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日本も追従する?中国で地方都市・農村向けビジネスが大流行しているワケ=牧野武文

中国の人口ピラミッドを見ると、2つのピークがある。この人口ボーナスにより、中国は経済成長をしてきた

大躍進政策を推進した毛沢東が失脚をし、愚かな政策が改められると、にわかにベビーブームが起こりました。これが40歳代後半のピークです。この世代は、経済重視の政策に舵が切られる改革開放が始まるときに10歳前後で、90年代からの個人消費の成長に大きく貢献しました。家電製品、新しい食品、服飾、家具など中国の経済成長を支えたのです。このような人口ボーナスが中国の経済発展の礎となりました。

しかし、急激な人口増加が問題となり、80年前後から有名なひとりっ子政策が始まります。ひとりっ子政策は中央政府が指針を示しますが、具体的な実行は地方政府に任されていました。そのため、厳格に実行する地域(農村が多い)もあれば、実際には形骸化している地域(都市が多い)もあるため、厳密に何年から始まったというのは難しいのですが、80年ごろから本格化をしていったと言われています。

それが人口ピラミッドにも現れています。30代後半と40代前半はものすごく人口が少なくなっています。

日本でも、似たような人口ボーナス世代に団塊の世代(47年から49年生まれ)があり、その団塊の世代が親になると、団塊ジュニア(71年から74年生まれ)の世代も人口が多くなります。

これと同じように中国でも、先ほどのベビーブーム世代が子ども産むジュニア世代の人口が多くなっています。これが30歳代前半(80年代生まれ)の世代です。俗に80后(バーリンホウ)と呼ばれる世代で、貧しい中国の記憶のない世代です。この世代も、経済に大きく貢献しました。成人をする頃に、アリババやテンセントといったIT企業が登場してきます。EC、SNSなどのITサービスの主力となった世代です。

つまり、中国の経済成長、IT革命の背後には、人口ボーナス世代がいたわけです。しかし、そこから下は再び急激に世代人口が少なくなります。ジュニア世代が親になって、現在の10歳以下の人口が多くなってもよさそうですが、そうはなっていません。

80后は、結婚をしない世代なのです。生まれた時から豊かな中国しかしらず、自分の人生を楽しもうと考え、恋人を作り同棲はしても、子どもを産んで家庭を築こうとはなかなかしません。豊かになれば少子化になる。他国でも共通した現象です。

しかし、経済面から見ると、これは大きな問題です。人口ボーナスがなくなるわけですから、あらゆる業種が停滞をすることになります。その傾向はすでに始まっています。20歳代が好むファストファッション業界は、どのブランドも苦しむようになっています。今後、比較的若い世代が消費の中心になっている自動車、マンションなども成長が止まることは避けられません。

下沈市場で成長するEC「ピンドードー」

そこで注目が集まっているのが、下沈市場です。この下沈市場をうまく捉え、大成功したのがソーシャルECの「ピンドードー」です。

ピンドードーは、すでに利用者数や流通総額で、京東を抜き、アリババに迫る第2位のECになっています。現在でも成長を続け、利用者数で2020年中に1位のアリババを抜く可能性もあるほどの勢いがあります。

こういう、下沈市場を活用した成功例も登場することで、ますます下沈市場が注目されるようになっています。

下沈市場とはどんな特徴を持っているのでしょうか。そして、ピンドードーはそれをどのように活用して成功したのでしょうか。

次項からは、下沈市場とそのビジネスについてご紹介します。

Next: 中国では、都市のランキングが発表され、都市のクラス分けが一般にもよく――

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