下沈市場というフロンティアを発見できる中国ビジネスの強み
経済の成長というのは、人口ボーナスに依存をしています。どの国でも、ベビーブーマー世代が成人する頃に経済が成長します。人数が多いのでモノがたくさん売れる。景気がいいので給料が上がり、よりたくさんのものが買えるようになるという好循環が生まれるからです。
中国では、2回のベビーブーマーによる経済成長がありました。しかし、今後は、この人口ボーナスを期待することはできません。そこで、下沈市場という今までとは異なる新たなフロンティアを発見し、そこからピンドードーという成功例も生まれているのです。
改革開放が始まったとき、トウ小平は先富論を基本原則にすると訴えました。「私たちの政策は、一部の人を先に豊かにするためのものです。その豊かになった地区が、落伍している地区のお手本となり、手を差し伸べるというものです。先に豊かになった地区が、落伍している地区を助けることは義務なのです」というもので、このようにして、中国全体を豊かにするというものでした。
しかし、実際には、落伍した地区の安い労働力を使って、豊かになった地区の人々は自分の生活を楽しんだのです。それが長い時間かかって、ようやくトウ小平が思い描いた理想が実現されようとしています。
ちなみにピンドードーを創業したホワン・ジェンは、浙江大学を卒業後、ウィスコンシン大学に留学し、そのままグーグルに入社したエリートです。グーグル中国の立ち上げに伴って帰国をし、辞職後、ピンドードーを起業して成功しました。
起業した当時は、地方市場を狙ってもうまくいくわけがないと投資家から言われ、都市住人からは「貧乏人のEC」とバカにされました。
こういうスーパーエリートが、地方都市の構造を熟知をし、そこにうまくハマるビジネスを、スマホ、EC、ソーシャルといったテックを組み合わせて作り上げる。個人的に、こういう深みのある発想ができることに、中国テックビジネス業界の懐の深さを感じます。
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『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』(2020年7月6日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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