東証1部全体の時価総額はおよそ600兆円だが、アップルは1社で200兆円に達した。日本一のトヨタはその約10分の1という評価だ。(『億の近道』炎のファンドマネージャー)
小学生から証券会社に出入りし、株式投資に目覚める。大学入学資金を株式の利益で確保し、大学も証券論のゼミに入る。証券会社に入社後は一貫した調査畑で、アナリストとして活動。独立系の投資運用会社でのファンドマネージャーの経験も合わせ持つ。2002年同志社大学・証券アナリスト講座講師を務めたほか、株式漫画の監修や、ドラマ『風のガーデン』(脚本:倉本聰)の株式取引場面の監修を行う。
アップル1社の時価総額で、東証1部全体の「3分の1」
東証1部市場の時価総額がおよそ600兆円を上回った水準となり1989年末のバブル経済のピーク時並みとなる一方で、米国では1社だけの時価総額が2兆ドル(210兆円)にまでなったことが話題を集めている。
その1社とはいわずもがな、アップルだ。世界中のビジネスマンが重宝していたマイクロソフトのウィンドウズに比べ、ビジネスユースではマイナーな印象があったアップルのマッキントッシュ。それがじわじわと一般消費者に受け入れられ、iPodやiPhoneなど生活を変える新製品を次々と生み出し、ついには世界最大の時価総額に躍り出た。
1990年代前半までは鳴かず飛ばずだったアップル社の株価は、携帯音楽プレーヤー(iPod)に続く、スマートフォン(iPhone)の普及とともに急上昇。私の記憶が正しければ、25年ほどあまりの間に時価総額はおよそ100倍になったということになる。
つまり日本株がバブル崩壊後の失われた30年を過ごしているうちに、米国の限られた企業(アップルやマイクロソフト、アマゾン、グーグルなど)が台頭し、時価総額を高めて今日に至ったというわけだ。
日本の産業はボロボロ
この間、社会ではさまざまな出来事があった。
日本でも、情報通信に絡む「NTT」や「NTTドコモ」「NTTデータ」などの企業が事業規模を拡大。「ソフトバンク」や「旧ライブドア」、さらにはEコマース分野で「楽天」など、ITに絡んだ企業が登場した。
しかし、世界規模でビジネスネットワークを構築できた事例は皆無と言える。
つまり、バブル経済立て直しの中で、日本はモノづくりでは中国にお株を奪われ、残ったのはロボット産業や自動車産業、電子部品産業などに限定。システムやソフト、ネットワークサービスでは、米国に完全に牛耳られたということになる。
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