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習近平失脚論が急浮上。米中新冷戦、中国は「台湾特攻」で玉砕する=勝又壽良

米中冷戦で中国勝利説の曖昧

ところで、「米中新冷戦でアメリカに勝ち目はない」という、勇敢な主張が出てきた。最近では、珍しい中国支持の議論である。この説に従えば、習近平氏の「辞任」などはあり得ないことだ。逆に、習氏の株が上がることで、習氏の権力基盤は一段と高まるはずである。

『ニューズウィーク 日本版』(9月8日付)は、丸川知雄・東大教授の「米中新冷戦でアメリカに勝ち目はない」と題するエッセイを掲載した。

内容は、タイトルからわかるように米中新冷戦は中国が勝つ、というものである。まず、丸川氏の主張を要約したい。その後で、私のコメントを付す。
※参考:米中新冷戦でアメリカに勝ち目はない | 丸川知雄 – ニューズウィーク日本版(2020年9月8日配信)

1)通信の専門家でもない政治家が、「中国製の(通信)機械は危ないから使うな」と命令すれば、通信事業者は中国製を使いさえしなければいいんでしょと考えて、かえって情報の漏出防止に対して必要な対策を怠る危険性がある。

2)いま米国がやっている中国のハイテク企業いじめには、いったいどのような戦略的意味があるのか説明がなされていないし、説明することもできないのではないか。ファーウェイに輸出するのはだめだが、ファーウェイと同じ中国の民生用スマホメーカーであるシャオミやオッポやZTEに売るのは特に規制しないというのでは道理に合わない。

3)米国が、安全保障上の脅威を理由にする輸出規制の「成果」はショボいものでしかない。ファーウェイは自ら5Gスマホを作る道を断たれるならば、自社の技術を他社にライセンスするだろう。その結果、中国国民が手にするスマホのブランドは、ファーウェイから他社に変わるかもしれない。最新鋭の5Gスマホが、入手できるのである。これで安全保障上の脅威が減じることになるのだろうか?

4)米国が、中国に対して輸出管理という経済戦争に勝利できるかどうかは、米国およびそれに同調する国々が、中国が他から入手できないものをどれだけ効果的に封じ込められるかにかかっている。ファーウェイを封じ込めても、中国が他からいくらでも代替品を入手できるのであれば封じ込めの効果はない。

次に、私のコメントを付したい。

1)ファーウェイ「5G」には、バックドアを秘かに装着されている。これによって、情報漏洩と同時に北京から情報操作できる危険性を持つ。豪州が昨年1月、発見した技術上の危険性である。政治家発言は、これに基づいている。

2)ファーウェイは、民間企業を装っているが事実上、国有企業である。人民解放軍と密接な関係を持ち、スパイ機能を担っている。中国産業構造高度化計画の「中国製造2025」では、ファーウェイが中核的機能を果たす予定だ。米国は、前記の高度化計画に反対である。政府が多額の補助金を与えるためで、WTO(世界貿易機関)のルールに違反する。中国はこれを無視しているので、ファーウェイ制裁によって、このプロジェクト進捗を防ぐ狙いである。

3)ファーウェイは、9月15日から米国製ソフトウエアと半導体設備を用いて生産した半導体の輸入を禁止された。これで、手持ち半導体在庫は、最大限で来年12月までしか保たないという。ファーウェイが「5G」スマホの製造権を他社に移譲しても、米国は「高級半導体輸出」を禁止するはずだ。軍事技術に転用される恐れがあるためだ。

中国の宇宙ロケット発射が、今年に入って相次ぐ失敗に見舞われている。米国製の高級半導体輸入が行われない結果と見られている。米国の狙いは、民間技術の軍事技術への転用阻止である。

4)米国は先述の通り、9月15日から米国製ソフトウエアと半導体設備を利用して生産された半導体すべての輸出禁止である。このように網を広く張った結果、他国といえどもファーウェイへの輸出はストップさせられた。外国企業で、米国から法令違反を問われれば、莫大な賠償金を科される。中国ZTE(中興通訊)が、イランへ輸出したことが違法とされたのと同じケースとなる。今回は他国へ課されるのだ。

以上の結論として、丸川知雄氏の「米中新冷戦でアメリカに勝ち目はない」という結論は、否定されよう。中国の半導体産業は、未だ揺籃(ようらん)期である。米国や先進国から、大きく引き離されている。半導体産業は、21世紀最大の戦略産業である。その産業が、「ヨチヨチ歩き」では国際競争に勝てないのだ。

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