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バイデン勝利を織り込む米国市場。暴落の兆候は「テスラの株価」で見極めろ=栫井駿介

共和党は法人減税で株価上昇、民主党は…

バイデン候補の経済政策は、以下のようなものです。ただ、これだけでは特徴がいまひとつぼやけてしまいます。

そこで考えなければならないのが、「共和党」と「民主党」の違いです。米国ではこの二大政党が代わる代わる政権を担う二大政党制となっています。

共和党はいわゆる「保守政党」に分類されます。白人・キリスト教という昔ながらのイメージのアメリカ人が主な支持層です。経済政策は大企業寄りとされ、トランプ政権では法人税を35%から20%に引き下げました(編注:2017年12月末の税制改革法案成立で決定)。これが株価上昇の原動力となったことは間違いありません。

NYダウ 週足(SBI証券提供)

NYダウ 週足(SBI証券提供)

一方の民主党は「革新政党」に分類されます。支持者は人種的マイノリティや女性に多く、近年は都市部での支持も高いとされます。経済政策は「大きな政府」を志向し、財政拡大に積極的です。かつて世界恐慌からの回復のために「ニューディール政策」を行ったルーズベルト大統領も民主党です。

バイデン政権で注目すべき「長期金利の上昇」

民主党のバイデン候補が大統領になると、これまでの共和党の政策から一転し、低所得者層を保護する政策を掲げる可能性があります。すなわち、法人税は増税し、財政支出を拡大させるのです。

新型コロナウイルスの影響をより大きく受けているのは、間違いなく低所得者です。現場職である彼らは真っ先に解雇されました。一方富裕層は、未曾有の金融緩和を追い風とした株式市場の回復によりむしろ資産を増やしています。ただでさえ貧富の格差が大きな社会が、さらに分断されつつあるのです。

それを修復するため、法人税の増税あるいは資産課税の強化や、雇用創出のための公共事業積極化などの政策が考えられるでしょう。

法人税の増税や資産課税の強化は、株式市場にとって純粋なマイナスです。企業や資産家の利益に対し、政府の取り分が大きくなることを意味します。ただし、アメリカでは株価が政権支持の生命線であることも確かですから、下手に株価を下げる手を打ってくるとも思えません。

そうなると、この状況下で取りやすいのが財政政策です。公共事業を行い、コロナ禍で職を失った人に対して働く場を提供することになります。困窮する低所得者に対しては支持される政策となるでしょう。

当然これは財政支出を伴います。しかし、ただでさえコロナ禍で未曾有の支出を行っている中で、さらに支出を拡大させたらどうなるでしょう。投資家としては、政府の財政状況を不安視し、国債を売るという行動に出ます。

国債が売られて価格が下がるということは、長期金利の上昇を意味します。FRBは短期金利を政策でコントロールしていますが、長期金利はコントロールできません。これは市場原理で決まるのです。

その長期金利ですが、足元でじわじわ上昇しつつあります。

米国国債10年 日足(SBI証券提供)

米国国債10年 日足(SBI証券提供)

これは、バイデン大統領誕生を織り込みにきているようにも見えます。まだレンジの範囲内とも言えますが、今後の動きはよく見ておくべきです。

Next: 「テスラ」の株価に注目すべき理由

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