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超長期で見れば日米株は絶好の買い場か。米国金利は今がピーク、中長期指標が示す未来の好景気=山崎和邦

米インフレで米不況到来、その影響を受け日本も不況となり、40年ぶりのスタグフレーションになると話題になっている。しかし、米国の潜在成長率は高いし、長期で見れば伸びていくであろう。また、日本株も益回りが8%もあるのに安く放置されすぎている。超長期で見れば、今は絶好の買い場なのかもしれない。(「週報『投機の流儀』」山崎和邦)

※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2022年9月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に購読をどうぞ。

超長期で見れば日本株は安い

(1)超長期に見れば日本株は決して高過ぎはしない。モノの見方には(A:循環的な見方)と(B:構造的な見方)とがある。

本稿がいつも述べてきた内容は(A)循環の流れに沿った景気変動と株価変動であった。

ところが(B)構造的な、或いは地政学上の、或いは大国の興亡という大所高所から見ると別の風景が見えてくる。

(B)の流れで見ると、自民党が結党された1955年以来、1973年までの18年間は「日本国の高度成長期」であったが、その期間に(A)で言えば、景気循環は4回あって「谷」も「山」も4回あったし、株価は続落もあったし続騰もあった。しかし、その期間に平均株価は5倍半近くになった。(日経平均1000円→5300円)。これが(B)である。

また、1990年~2011年までの21年間は、日本の「失われた20年」であり、株価は最高値の5分の1になった。これが(B)である。(3万8915円→7,000円)。

その期間にも(A)で言えば景気循環は4回あって「山」も「谷」も4回あった。平均株価は1.6倍になったことが何回もあったし2倍半になったこともあった。(2003年の7,600円→2006年18,260円)。

つまりは、(B)の中に(A)が在るのだ。本稿では「超長期」に属する「大国の興亡」的な構造的な見方から離れて「中長期の見方」と称して循環的な見方を専らとしてきた。

ところで、超長期に見れば日本株は決して高過ぎはしない。益回りが8%で長期金利がゼロ、諸物価が先進国の中で格安に安い。このような日本株を世界先進国が見放しておくわけにはいかない。アメリカは長期金利が3%で止まるだろう。

したがって、金利がどんどん上がって株がどんどん下がることはない。40年前のボルカ─時代とは、アメリカの本質が違う。潜在的な成長率もアメリカは非常に高い。アメリカの株はそんなには下がらない。したがって、日本株もそんなに下がらない。アメリカとは関係なく、益回りが7.8%で長期金利が0.2%などという株式市場を世界が放置しておくはずがない。

アメリカの写真相場でNYが下がれば日本株も下がる、何かあれば売り先行で現金確定しておく、現金にしておく方に価値があった。長い期間のデフレ時代がそうさせた。これらが日本株の目先を支配している。しかし、筋の通った理論から言えば、益回りが8%近くで長期金利がゼロ%近いという異常状態が長く続くわけがない。よって、日本株は期待したほどには下がらない。

世の中が「不況シナリオ」に染まりつつあることへの用心

ここに筆者の重要な所見を述べたい。今、世の中には米インフレ・米不況到来・日本にも不況到来。下手をすれば40年ぶりのスタグフレーションになるというような話題が席巻している。

今ほど自信を持って不況到来を予測している雰囲気は珍しい。不況到来が今のように恐れられているのは、その到来が予見できなかった時代の話しであり、今は景気動向指数や四半期別のGDPが2四半期連続マイナスになったら用心、といった客観的な指標がある。にもかかわらず、非常に恐れられているのは、非常に奇妙な風景である。

それはリーマンショックという海外要因や、日本で言えば東日本大震災というような不測な災害要因や、それに誘発されて発生した原発事故というような予測不能な事態があるから恐れるのであろう。四半期GDPが2期続けてマイナスになれば用心だとか、景気動向指数が後退期入りの兆候を示したら用心だとかいうように、客観的に測れる場合にはそんなに恐れるべきではないと思う。

Next: 米国の中長期指標の半分以上は持続的な高インフレを示していない

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