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意外に近い?暗号通貨が国際決済の新標準になる日。2027年から始まるフェーズ4と国際送金革命の全貌=高島康司

暗号通貨を巡る状況も大きく変化しているが、水面下では暗号通貨の国際決済への導入がゆっくりと進んでいる。この状況を伝える。完全な導入ができた場合、暗号通貨の相場がどうなるのか予想する。(『 ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン 』高島康司)

※本記事は『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2026年6月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

国際決済で暗号通貨が全面的に導入される時期は?

いま水面下で加速しているのが、暗号通貨の国際決済のへの導入である。この動きは、将来金融システムを大きく変化させる動きであるものの、あまり注目されていない。重要な動きなので、今回は詳細に紹介することにした。

国際決済における暗号通貨(ステーブルコインやトークン化された資産を含む)の導入は、実験室での「実証実験」のフェーズを完全に終え、「既存金融への本格的な組み込み」と「ドル覇権に対抗する新インフラの構築」という2つの方向で実運用フェーズ(社会実装)へと突入している。

従来のSWIFT(国際銀行間通信協会)を経由した数日かかる決済に対し、ブロックチェーンを用いた決済は「数秒~数分」で完了し、中継銀行への手数料も激減する。この構造的優位性を背景に、現在進行形で進む具体的な動きは、以下の3つの潮流に整理できる。

<潮流その1. 法制化に伴うB2Bステーブルコイン決済の爆発的普及>

企業間(B2B)のクロスボーダー決済において、米ドルに連動するステーブルコイン(USDCやUSDTなど)が実決済のインフラとして定着しつつある。

  • 規制の整備(GENIUS法など)
  • 2025年に米国で決済用ステーブルコインの明確な法規制枠組みが施行されたことで、企業の法務・コンプライアンス上の障壁が消滅した。

  • 主要決済企業の動き
  • CoinbaseとMassPayの提携に代表されるように、企業のペイアウト(支払い)プラットフォームにUSDC決済が標準搭載される動きが加速している。これにより、企業は従来の「ノストロ口座(海外の決済用預金口座)への事前資金積み立て」から解放され、オンチェーンでの即時・低コストな調達決済が可能になった。

  • 新たなプレイヤーの台頭
  • 従来の二大巨頭(USDC、USDT)に加え、PayPalのPYUSDや、Ripple社のRLUSDといった大手ブランドのステーブルコインが、国際送金コリドー(回線)のシェアを巡って激しく競合している。

<潮流その2. 国際決済銀行(BIS)主導の「大口決済トークン化」プロジェクト>

中央銀行や巨大民間銀行が主導する「ホワイト(規制下)」の領域では、既存の金融システムそのものをブロックチェーン技術(トークン化)でアップグレードする動きが最終段階を迎えている。

  • プロジェクト・アゴーラ(Project Agora)の進展
  • 国際決済銀行(BIS)と国際金融協会(IIF)が主導するこの巨大プロジェクトは、5大中央銀行(FRB、日本銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行など)と40以上の民間金融機関が参加している。

  • プロトタイプの成功と実価値テストへの移行
  • 5月末、中央銀行の準備預金と商業銀行の預金を同一の共有プラットフォーム上でトークン化し、異なる通貨間での「アトミック決済(同時かつ即時の決済確定)」を安全に行うプロトタイプが成功したと発表された。これにより、システムは単なる実験ではなく、実際の資産を動かす実価値テスト(Real-value testing)のフェーズへと移行している。

<潮流その3. 脱ドル化を狙う「BRICS Pay」とCBDCブリッジの台頭>

欧米主導の金融制裁やドル依存からの脱却を目指す新興国(BRICS)は、独自の暗号技術を用いた決済インフラの構築を急ピッチで進めている。

  • BRICS Payの2026年本格始動へ
  • インドが議長国を務めるBRICSの枠組みにおいて、中央銀行デジタル通貨(CBDC)同士を直接接続する決済ブリッジの提案が具体化している。

  • mBridge(多国間CBDCブリッジ)の拡張
  • すでに莫大な取引高(95%がデジタル人民元ベース)を記録している「mBridge」などのインフラをベースに、SWIFTや米ドルの清算センターを経由しない、分散型メッセージングシステム(DCMS)を備えた決済ネットワークの構築が、アジア・アフリカ間の貿易ルートを中心に現実の運用ネットワークとして拡大している。

<まとめ>

国際決済における暗号通貨技術の導入プロセスを段階(フェーズ)で表すと、現在はフェーズ3にある。

段階 状況 主な動き
フェーズ1 技術実験完了 ブロックチェーンで送金ができるかの検証。
フェーズ2 制度化・インフラ整備完了 ステーブルコイン法案の可決、各種プロトタイプの完成。
フェーズ3 限定的実運用・統合(現在) B2B貿易決済でのUSDCやXRPなどの実利用、BISによる実価値テスト。
フェーズ4 完全な標準化(未来) 既存の金融ネットワーク(SWIFTなど)がトークン化インフラへ完全移行。

現在はまさに「フェーズ3(限定的実運用・統合)」の最中にあり、単なる「通貨の代替」ではなく、「決済にかかる時間とコストを極限まで削るための新常識」として、国家・民間双方が社会実装を急いでいる段階である。

Next: いつ暗号通貨は完全に普及する?具体的な3つのマイルストーン

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