ブームが去った感のある仮想通貨ビジネスで、GMOとSBIは売上・利益を上げ続けています。それは今後も続くのでしょうか。今後の市場トレンドを読み解きます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年9月11日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
仮想通貨「暴落」でも儲けは確保。取引所ビジネスまだ行ける?
仮想通貨ビジネスの今
今回は、GMOとSBIの2社の決算から、仮想通貨ビジネスの市場トレンドについて勉強していきたいと思います。
前編と後編で、「取引所ビジネス」と「マイニングビジネス」を2つの記事に分けて取り上げたいと思います。
はじめに、GMOの決算を簡単に見ていきます。
※参考:GMO Internet 2018年12月期 第2四半期決算説明会(PDFファイル)
GMOグループ全体としては、売上が半年分で912億円、YoY+22.8%、営業利益は117億円で、YoY+57.2%と、グループ全体としては非常に成長スピードが速いと言えるでしょう。
セグメント別に見てみると、仮想通貨部分に関しては四半期で売上が26.5億円、営業利益が黒字に転換して2.5億円と、しっかりと売上利益が上がるようになってきています。
GMOにおける3つの仮想通貨事業
GMOにおいては、仮想通貨事業はこの表あるように、マイニング事業、交換事業、決済事業という3つに分類されています。
図の中で○△という記載があるように、決済事業に関してはまだ立ち上がっていないようですが、残りの2つの事業に関しては、既にビジネスが立ち上がっています。
GMOの仮想通貨全体で見ると、このグラフにある通り、しっかり売上と利益が出始めていることが見て取れます。
GMO:仮想通貨交換事業~価格低迷でも利益が出る仕組み
では始めに、仮想通貨交換事業を見てみましょう。
口座開設数は17.7万口座まで順調に増え続けています。GMOはグローバルナンバーワンのFX事業を持つ会社ですが、FXの方は13年かかって72万口座であるのに対し、仮想通貨はたった1年で17万口座まで増えたというのが、近年の仮想通貨ブームを如実に物語っていると言えるでしょう。
一方で、最近の仮想通貨の価格が落ち込んでいることもあり、売買代金の方は月間1,600億円程度まで落ち込んでいることが見て取れます。
仮想通貨の交換事業は、四半期当たり14.2億円の売上と、5.5億円の営業利益をもたらすビジネスに成長しています。
売買代金が落ち込んでいても、きちんと収益が出るビジネスになっている、ということが確認できると思います。