安倍改造「仕事人内閣」は仕事ができない? 支持率アップ次の一手とは=斎藤満

国民の信頼を失った安倍政権は内閣改造で「人心一新」を図りましたが、新味がありません。これで支持率が上がらないとすれば、次はどう出るのでしょうか。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2017年8月4日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

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内閣改造で支持率は平均3.5%上昇するが

安倍総理は、内閣支持率が急落する中で、起死回生を狙った内閣改造を行いました。第一次安倍政権では事務所経費の扱いが問題視された農水大臣を辞めさせないまま参院選で大敗した反省から、今回は国民に不評を買った大臣を交代させ、より安定感のある人物を登用しました。すでに辞任した稲田防衛相の後に小野寺五典元防衛相文科相に林芳正氏法務相に上川陽子元法務相を起用しました。

また安倍総理と距離を置いていた野田聖子氏を総務相に起用しましたが、内閣改造で「人心一新」を図ると言っても新味がありません。過去の例でみると、最近20年での17回の内閣改造の結果、改造で支持率が上昇したのが12回、低下したのが4回となっていて、平均では3.5%の上昇に留まっています。直近3回の安倍総理による改造の結果も、平均4%の上昇となっています(NHKの調査)。

大臣の入れ替えだけでは解決しない

今回の支持率急落の要因には、一部に稲田大臣の問題発言その他の大臣の不安定な答弁、そうした大臣をかばって辞めさせなかった総理への批判もあります。そのため、今回のこうした大臣の交代は、マイナス要因の排除にはなっても、積極的な「得点」にはなりにくい面があります。むしろ、加計問題などに総理自身の答弁が国民には「説明になっていない」ととられるなど、総理自身の信認が問われた面があります。

もっとも、本人の入れ替えとなれば内閣総辞職しかなく、それを回避しつつ、支持率回復を図ろうとする点に無理があります。また、国会中継で、関係省庁の官僚の答弁が「記憶にない」に終始し、責任ある回答をしなかったことや、関連の閣僚も総理の立場をおもんぱかって、同様に知らぬ存ぜぬで通したことも大きいでしょう。

これは、大臣や官僚個人の資質の問題というより、2014年に作った内閣人事局のにらみと、安倍一強の力による面があり、これを質さない限り、大臣の入れ替えだけでは解決しません。つまり、総理や官邸ににらまれては、選挙にも次のポストにも響くので、イエスマンの大臣ばかりとなり、官僚も生涯の天下りポストを用意してもらうためには、官邸に忠義を尽くさねばなりません。

政治家が人事を決めるという最大の過ちを犯したことで、総理や官邸を怖がらずに発言できる人は、人事から超越した人か、すでに解任され、失うものがない人くらいとなります。前川前文科次官はその一例ですが、この問題に対する今回の対応はせいぜい30点で、それも安倍一強体制が崩れたため、総理のにらみが効かなくなり、総理への依存が低下した、という環境変化によるポイントだけです。

結果として総理のお友達内閣からは脱却できず、総理に物申すだけの骨のある人物、例えば石破氏小泉進次郎氏などの入閣は見送られました。もちろん、内閣改造によって、内閣人事局の力がなくなるわけではないので、主要官庁の幹部から客観的な答弁を期待することはできません。誰しもハッピー・リタイアと生涯の生活安定を考えるのは人情です。

この内閣改造による支持率の変化は間もなくわかると思いますが、もし仮にこれで支持率の下落に歯止めがかかれば、安倍内閣が倒れるリスクは当面なくなると見られます。米国のトランプ政権で安倍総理を支持するネオコンが勢力を維持し、地政学リスクによる政権求心力の上昇に協力してくる可能性もあるでしょう。

Next: では、内閣改造でも支持率が上がらない場合の「次の一手」は?

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