コインチェックの仮想通貨流出事件について、セキュリティに問題があったと言わざるをえませんが、金融庁の正式な許可が下りていない「みなし業者」のまま営業を拡大していた問題点も露呈しました。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2018年1月31日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
国内大手コインチェックが無登録の「みなし業者」という危うさ
なぜ黙認していたのか?
コインチェックのドタバタ劇が露見してから、コインチェック自体のオペレーションもさることながら、「金融庁はこんなに適当な商売を黙認していたのか」という事実がかなり明らかになりつつあります。
一方、昨年から店頭FX業者の経営リスク低減の問題から、個人投資家のレバレッジを10倍に下げる話がしきりと登場しています。しかし、実際に規制をするなら、店頭FXじゃなくて仮想通貨取引所なのでは?と思われる問題が続出しはじめています。
「コールドウォレットが実装されていない」などというテクノロジー上の問題もさることながら、国内市場で2番目の規模を争う「コインチェック」が、なぜ仮想通貨取引所の登録企業ではないのか? また、それでもなぜ「みなし業者」として運営ができるのか? これはかなりクビをかしげる状況です。
緩すぎる金融庁の規制
昨年9月に改正資金決済法に基づいて登録されたところは4社ほどですが、このタイミングで登録から漏れた企業でも、審査が継続中なら運営を続けられるということで、コインチェックはこのみなし業者としてビジネスを続けていたのです。
申請さえかけていれば事実上の無登録業者でも営業が続けられるのであれば、登録の意味はどこにあるのか? 銀行・生損保などの免許事業と比べるとあまりにも適当な話で、言葉は悪いですが、アジア圏の新興国の超適当な金融監督機関並みの緩さでビジネスが展開していたことになります。
北朝鮮御用達の仮想通貨モネロを扱っていた
一説によるとコインチェックがこの登録業者から外されたのは、モネロと呼ばれる匿名コインを取り扱っているからで、マネーロンダリングや脱税に使われやすい仮想通貨の取り扱いが登録見送りの要因になっているようなのです。
実際このモネロは北朝鮮との関係も指摘されており、本来ならば取引をやめさせるべき商品のはずです。しかし、登録業者のほうを先送りして商品はそのまま売買させるという、なんとも本末転倒な措置がとられてしまっているわけです。
とはいえこの手の問題は、取引業者が自ら「扱いに問題があるのでやめる」と言うと途端に相場が下落しますし、そのほかの通貨も横並びで下落を示現し、必要以上の流動性パニックを引き起こしかねません。そのため、結局は何も対応できていないのが実情です。
ICOで登場するトークンでしかないようなものも含めると、すでに1000種類以上が出回っているといわれる仮想通貨。これらのどこまでがまともなものなのかは極めて不明確であり、広告をバンバン打って顧客を集める業者が扱っていれば、自ずと人も買いに走ることになるわけですから、この登録業者制度がなんの意味もないことは明白な状況といえます。
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