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資本主義の養分ごとき「個人投資家」は、息を殺しながらひっそり勝て=鈴木傾城

超巨大投資銀行や老獪なヘッジファンドなど絶対強者が跋扈する市場において、なんと個人投資家は貧弱なのだろう。だが、正攻法では勝てない私たちにも活路はある。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』鈴木傾城)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

まずは弱者と自覚することから。正攻法で勝てなくても活路はある

個人投資家の置かれている立場

JPモルガン、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなどは超巨大投資銀行である。頭脳明晰にして実行力と影響力のある経営者の元に、優秀なアナリストやトレーダーが集まり、様々な金融工学の手法を駆使して巨大な資金を金融市場に投じて莫大な利益を上げている

さらにアメリカには、金融市場の裏の裏まで知り尽くした老獪なヘッジファンドや、莫大な資金を預かっている巨大年金ファンドも存在し、彼らが金融市場に君臨する。

一方で、個人投資家はどうなのか。

資金はあまりにも少なく、手に入る情報は遅く断片的で、分析能力も格段に落ち、24時間市場に張り付いているわけでもない。1秒間に数百回も取引が可能な高性能なコンピュータとシステムがあるわけでもない。インサイダー情報も、人脈もない。つまり、何も持たない

金融市場で「相場を張る」というのは、圧倒的な資金力・情報力・分析力・行動力に勝るこうしたウォール街のティラノサウルスとも言うべき肉食恐竜と素手で戦うことを意味する。勝てるのだろうか?

結論は明白だ。相場で戦っても巨大な存在には踏みにじられて彼らのエサにされるのがオチだ。

一般的な話をすると、弱者は超巨大な存在には勝てない。しかし、世の中は一筋縄ではいかないのが常だ。

弱者には弱者の生き方と戦い方があるという事実

世界に君臨する強者の前に、何も持たない弱者は踏みにじられる。しかし、世の中には何事にも例外もあれば裏もある

たとえば、世界最強の軍隊を持ったアメリカですら、貧弱な武器しか持たない弱小国家に負けることもある

ベトナム戦争時、火力・物量・組織力に勝る圧倒的なアメリカ軍に対して、旧式の武器しか持たないベトコン(南ベトナム解放民族戦線)は勝てるはずがないと言われていた。

当然だ。世界でも比類のない火力・物量・組織力・資金力を持つ側は、確率から言うと勝つ可能性は非常に高い。強者は勝って当然なのである。

ベトコンが圧倒的優位なアメリカ軍に対して屈することがなかったのは、その戦い方が特徴的だったからだ。

「正面から戦わず、ゲリラ戦に徹した」
「勝てる場面だけ戦って勝ち逃げする」
「持久戦を戦い抜く」

ここに弱者の勝ち方のすべてが集約されている。弱者には弱者の生き方がある。弱者は「すべて」に劣るので、正面から戦うと決して勝つことができない。

だから決して正面から戦うことはない。どうするのか。弱者は逃げ回り、隠れ、潜り、息を潜める。敵の背後に回り込めたときだけ戦って勝つ。しかし、深追いせず、すぐに隠れてまた次のチャンスを待つ。

この方法で勝つためには、いつ果てるともない持久戦を戦うしかない。2年、3年ではなく、10年、20年の単位で持久戦を戦い抜く

この「ゲリラ戦・持久戦」の戦いはベトコンだけのものではない。アルカイダから、タリバンから、少数民族まで、すべての弱者の基本戦略でもある。

ゲリラに徹することができて、かつ運が味方した人間だけが、最終的に生き残ることができる。

とすれば、個人投資家が目指すべき戦いが何か分かるはずだ。当たり前だが、圧倒的な強者とは正面から戦っても無駄なのである。

Next: 弱者であると自覚できた個人投資家が、成功を勝ち取るには?

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