甘利大臣辞任で揺らぐ安倍政権を支援した「政治的」マイナス金利導入
「経済指標次第」では金融緩和はできないこのタイミングでのマイナス金利導入決定は、甘利前大臣の辞任によって揺るぎかねないアベノミクスに対する期待を繋ぎ止めるという「政治的判断」だったと疑われても仕方がない。
今回のマイナス金利は「賛成5、反対4」という僅差で導入が決まったが、マイナス金利に賛成した委員は全員が第2次安倍内閣によって任命された委員で、反対した4人の政策審議委員は全員が民主党政権下で任命された委員だった。
こうした事実から推察されることは、現在の日銀の金融政策は「金融的判断」に基づいて行われているのではなく、「政治的判断」によって行われているということ。
「経済指標次第」では正当化できないこのタイミングで、既に膨大になっている「金融政策のツケ」をさらに増やしたということは、日銀は政府から独立していない従属組織だということを内外に示したもの。
こうした中央銀行に対する信用の失墜も、将来の「金融政策のツケ」であり、将来の金融政策の効果を奪っていくことになる。
今の日本に必要なのは、「中央銀行の独立性」を取り戻すことだ。
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『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2016年1月29日号)より
※記事タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による
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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動してきた近藤駿介の、教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝えるマガジン。