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“ローコスト”な原発の正直なコスト~過酷事故の発生確率は4.3%/年=吉田繁治

3.原発の経済性に関する議論~政府試算の「ローコスト」は幻想である

原発での発電は、全設備と機械の減価償却費、燃料費及び人件費で言えば、火力や水力発電よりは経済的とされています。政府の試算では以下です(経済協力開発機構原子力機関:2011年)。

【原子力発電の経済性】

  • 原子力:4.3円/KW時(60年稼働:稼働率85%)
  • 石炭火力:4.6円/KW時(40年稼働:稼働率85%)
  • LNG火力:9.6円/KW時(30年稼働:稼働率85%

原子力がもっとも安く、環境への二酸化炭素の排出もない。

しかし大島堅一氏(立命館大学教授/環境経済学)は、1970年から2010年の41年間で、発電事業に要した本当のコストは以下だったとしています。政府の電源三法交付金の、住民保証料の政策コストも入れたものです。原発が立地する町とその周辺には、保証金が払われているからです(有価証券報告書に基づく原発単価の推計)。

【1KW時の総コスト(ライフサイクルコスト):大島堅一氏】

  • 原子力:10.25円/KW
  • 火力:9.91円/KW
  • 水力:7.19円/KW
  • 太陽光:40円程度/KW

原子力がもっとも高くなっています。

しかしこの原発の費用も、保管を続けるしかない核燃料の廃棄物の処理費、そして、建設後40年以上たってこれから増えるメンテナンス費廃炉費用、及び大地震と過酷事故の確率までを入れたものではありません。

「放射能を、外部に飛散させる過酷事故は起こらない」とされているからです。
(注)原発の過酷事故は、簡単に言えば、放射性物質が外部の外部に出る状態です

1基で1000年に1度という低い確率であれ、わが国で13ヶ所、原子炉数では44基ある過酷事故の合計確率と、事故で生じる巨大な保障費を、保険料のように予想コストに入れた場合、原発のライフサイクルの総コストは、大島氏の試算もはるかに超えるものになります。

Next: 1年間のうちに、日本のどこかで原発の大事故が起こる確率は4.3%

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