fbpx

バイデン政権誕生前後に株価調整?シーゲル博士、ガンドラック氏の見解は=江守哲

「今年は強い」は思い込みかもしれない

バンカメは、ここ2カ月間の激しい物価圧力によってビットコインが値上がりしたことにも言及しており、ドットコム・バブルや2000年代の中国、1970年代の金の「バブルをかけ離れた規模の急騰」と指摘している。ビットコインは7日に4万ドルを付け、過去1カ月間で価格が倍増している。昨年3月の安値からは900%超も値を上げている。昨年12月16日に2万ドルを超え、今年1月2日に初めて3万ドルを超えた。確かに過去比較でもバブルといえる。

しかし、決定的に違うのは、FRBにより資金供給量の大きさである。いまのFRBの保有資産は7兆ドルを超えており、過去とは比較にならない状況である。その資金を使って市場から株式やビットコインを買い上げれば、容易に価格は上昇するだろう。

08年の金融危機後にFRBによる資産買い入れは急増している。それ以前と今とでは、市場に出回っている「資金量がまったく異なる。したがって、過去の「10年から15年で10倍から15倍」というバブルの定義はいまや通用しないだろう。

このように考えると、いまの市場動向を正しく予測するには、資金の動きをこれまで以上に注視しなければならないといえる。資金の動きで相場は決まってしまう。いまはバリュエーションが高いものの、それでも株価が支えられているのは、やはり資金の力のおかげである。

しかし、最終的には割高に買われた株価水準が維持されることはないだろう。企業業績がついてこなければ、割高に買われた株価はいずれ調整される。この点は常に念頭に置いておかなければならない。

さて、今週から来週には株価はいったんピークアウトし、下落する可能性があるとの見方は変わらない。これは、シーズナリティからの判断である。いまは堅調に見える株価も、上げ続けることはない。必ず押し目を入れるはずである。それを狙っておく。

いまの株価を見れば、今年も強いと思いがちだが、もしかするとそれは思い込みかもしれない。期待するのはよいが、投資判断は冷静にすべきである。

ガンドラック氏の見解

ダブルライン・キャピタルの最高経営責任者(CEO)で著名投資家のジェフリー・ガンドラック氏は、新興国株に強気を表明する一方、暗号資産(仮想通貨)のビットコインについては、変動の激しさを指摘し、見通しを「オーバーウエート」から「中立」に変えたとしている。

ガンドラック氏は、「世界各国で巨額の新型コロナ対策が取られたことから金融市場全般は限界の域まで買われているように見える」とし、「投資家は皆、鏡の家に入り込んで抜け出せなくなっているようだ」としている。

また、「米国株が世界の他の株よりもアウトパフォームしたり、米国で大型株が小型株よりも値上がりしたりするような、幾つかの長きにわたった市場トレンドが失速しつつあるかもしれない」とも指摘。さらに、米雇用市場については、「労働者の志向の変化などで企業が一部の在宅勤務を恒久化させていることから、次のレイオフは中間管理層が対象になる可能性がある」とした。

ビットコインに対しては「これほど変動する市場は危険に見える」とし、「1時間に20%損するのを心配しなければならないのは、好きではない」とした。ビットコインの価格は今月9日に最高値を更新したが、11日には11%以上下落し、その後も9日の価格に比べて15%下回った水準にある。

債券王の異名をとるガンドラック氏からすれば、ビットコインのような激しい値動きは耐えられないのかもしれない。もっとも、最近は見通しがあまり当たっていない点には要注意である。

Next: 米国株の投資戦略と考え方は? 今年の鬼門は5月・6月か

1 2 3 4 5
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー