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バイデン政権誕生前後に株価調整?シーゲル博士、ガンドラック氏の見解は=江守哲

「バブルが発生しつつある」

さて、シーゲル教授は、米国債は投資家にとって最悪の投資対象であり、バイデン政権の政策でさらに悪化すると明言している。そして、ドル安が進行中であり、新興国市場も上昇中であるとしている。そのため、外国市場も注視すべきとしている。一方、バリューがグロースをアウトパフォームするとも予想している。これを「バリュエーションの差による交替」としている。

最後に、シーゲル教授は、きわめて不吉な発言をしている。「バブルが発生しつつある」としているのである。シーゲル教授は、「テスラやビットコインは、最終的に弾けるまではるかに上昇する可能性がある」としている。シーゲル教授は、ビットコインについて、金に向かうはずの資金がビットコインに向かっている面があるとしている。もちろん、この動きを肯定しているわけではない。むしろ、否定的である。

シーゲル教授は最近、金について前向きな言及をしているが、長い目で見ればもともと金に注目していたわけではない。まして暗号資産はなおさらである。シーゲル教授は、「彼らは後悔することになると思し、この傾向は逆転するだろう。しかし、みんな知っているように、こういうトレンドは経済的に正当化できるよりはるかに行き過ぎてしまうものである」と自虐的に解説している。

シーゲル教授は、市場の一部にバブル特有の現象が起こっていることを認めている。シーゲル教授は2000年のドットコム・バブル絶頂の2000年3月、テクノロジー・セクターがバブル状態にあると警告している。結果的に、まさにその3月がバブル崩壊の始まりだった。シーゲル教授は、何が崩壊を引き起こすと予想されるかについて、「ビットコインでいえば規制、政府発行デジタル通貨、違法行為など枚挙にいとまがない」と指摘している。

シーゲル教授は、「何でもこうしたことを連想させることがあれば、投機熱を壊す可能性がある。しかし、それがいつ起こるかは誰もわからない」としている。まさにその通りである。しかし、バブルがはじけるまでは、とてつもない価格にまで上げてしまうのが相場であり、投資家心理である。肝に銘じておきたい。

シティは慎重な見通し

シティは、新型コロナウイルスの新たな感染拡大に伴うロックダウンで世界経済が動揺する中、21年の世界株は現在の水準前後で推移するとの予想を出している。いまの株価水準は割高と判断しており、米国株の投資判断を「ニュートラル」に引き下げている。ただし、新興国と英国の株式に対する投資判断を「オーバーウエート」に引き上げている。

また、世界株式の12カ月先予想PERが20倍となる中、シティはバリュエーションが長期中央値の15倍を大きく上回っているとして、さらなるアップサイドは見込んでいないという。ちなみに、米国株の予想PERは23倍である。歴史的にも高い水準にあることを理解しておく。

ただし、PERが高いときほど、株価は強いという傾向もある。今年は強気と弱気が交錯し、判断が非常に難しい年になりそうである。長期的には上昇するとの見方は変わらないが、高値を買わずに、いかに辛抱強く押し目を待てるかであろう。下落の兆候は、欧州株、SOX(半導体指数)、銅相場のいずれかに出てくる。これらのどれかが崩れ始めたときには要注意である。

ファンド動向

バンク・オブ・アメリカ(BOFA)が8日に公表した週間調査によると、マネー・マーケットや金のファンドへ大量の資金が流入した一方、過去16週間で何十億ドルもの流入が見られた新興国市場からは資金が流出し、株高に不安感を示している投資家心理が映し出された。米大手銀行は、中央銀行や政府による景気刺激策により資産価格が「泡立っている(FROTHY)」との見方から、近いうちに株価が下がるとの警戒感を強めているようである。

とはいえ、6日までの週に米国株式ファンドには100億ドルが流入している。さらに、現金ファンドへは291億ドルが流入したほか、金ファンドは15億ドルが流入し、昨年8月以来の多さだった。こうみると、投資家はどこから資金を持て来たのか、ということになる。株も買われ、現金ファンドも買われ、金も買われる。非常に不思議である。

しかし、バンカメのチーフ投資ストラテジストは「ワクチン完成は売りだ。泡立った価格や強欲的なポジション取り、インフレ的で向こう見ずな政策当局者、失速する中国と消費者。21年は全てが有害に混ざり合っている」としている。いまの相場は過熱しすぎているとみているようである。

米国株のバリュエーションは12カ月後の利益予想に対して23倍にまで急上昇しており、1990年代後半の「ドットコム・バブル」以来の水準に達しているという。そのためか、シティグループは7日に米国株の判断を「オーバーウエート」から「ニュートラル」に引き下げている。一方で、英国と新興国の株式には強気で、「妥当な」バリュエーションとの見解を示している。

バンカメは20年の「すべてを買え」という流れが21年に入っても続いているが、リスク資産への資金流入が減速すると予想している。そのうえで、第1四半期終わりごろに「政策、保有ポジション、利益」が天井を打つとしている。また、強気の権化であるゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は、現状の市場はやや行き過ぎとして、特に短期的な株式市場の変動に備えているという。ゴールドマンでもそのようなコメントを出すことがあるのだと驚いた。

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