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情報強者の若者が困窮するのはなぜか? IT化社会に潜む貧困の落とし穴=鈴木傾城

結論が180度違ってしまうことは往々にしてある

それでは、有害な陰謀論・オカルト・フェイクを一掃すれば大量の情報はひとつの結論を示すのだろうか。

いや、断じてそんなことはない。

「ひとつの事実」があっても、人々は物の見方や考え方や対処方法がそれぞれ違うために、結論が180度違ってしまうことは往々にしてある。

たとえば、自分の人生に何らかの「困難」が立ちふさがって人生の岐路に悩んでいたとする。どうしたらいいのかインターネットを調べて見る。

すると、「困難に立ち向かえ」という情報があった。しかし、よくよく調べて見ると、その次の瞬間には「困難には立ち向かわずに逃げてもいい」という情報もあったりする。

このふたつは、人生に立ちふさがる「困難」という事実に対して、180度違うスタンスで説明されている。

物事を観察すると、ほとんどがそうなのだ。それぞれの問題は、それぞれ賛同や反対がある。場合によっては、調べれば調べるほど答えが分からなくなり、情報の迷宮にはまり込んでいく。

自分の抱えている問題の「答え」を調べると、大量の情報の中に「真逆の答え」を見つけて、選択は自己責任になる。

人生で直面する悩みやトラブルは、一言で正確な答えが出せるほど一筋縄ではいかないものだ。だから、調べれば調べるほど確信よりも迷いが増えていき、その迷いによって人は惑わされていく。

100の情報があって、その人が1つの答えを選択したとすると、極端に言えばその瞬間に99の情報が選択を迷わせる情報になる。

選んだものは本当に正しかったのか、もしかしたら間違ったものを選んだのではないかと思い始め、今度はその99の情報が自分の足を引っ張り出すのだ。

大量の情報に接すれば接するほど、そうなっていく。だから、大量の情報がなだれ込んでくると、逆に決められなくなることも多い。

大量の情報があっても、一向に役に立たない

大量の情報があっても、それだけでは意味がない。それは、情報化時代に入っても、貧困層が爆発的に増えていることを見ても分かる。若年層の貧困は、皮肉にも超高度情報化社会の中で起きている。

大量の情報が役に立つのであれば、情報にアクセスする能力が最も高い若年層がもっともうまく立ち回り、成功に至る道をインターネットで検索して選択し、欲しいものを手に入れていてもおかしくない。

大量の情報を手に入れることが成功する秘訣というのであれば、朝から晩までインターネットをしている若年層が一番成功しているはずなのだ。しかし、若年層の貧困は深刻だ。

これは要するに大量の情報があっても、それで社会で成功することはできないということを意味している。

Next: 情報の波を上手に泳ぐ若者たちほど貧困に落ちる。何が足りない?

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