米国の政治的思惑
オリンピック開催の決断にあたっては、やはり米国が大きなカギを握っています。
米国が日本に選手団を派遣しないとなれば、英国や欧州各国も追随するリスクがあり、事実上中止、ないし再延期を迫られることになります。
その米国には大きな政治的な思惑があります。それは来年に迫った北京冬季オリンピックをどうするか、という問題です。
バイデン政権では基本的に、中国の民主主義を蹂躙する行動に対して、強く反発しています。香港の中国化であり、新疆ウイグルでの少数民族虐待などを強く批判しています。
これを盾に、米国は北京冬季五輪をボイコットする姿勢を強めています。バイデン大統領のみならず、外交面で影響力を強めているヒラリー・クリントン氏も、同様に北京冬季五輪ボイコットを主張しています。
北京五輪を潰すために「東京五輪も」ボイコット?
問題は、これがこの夏の東京五輪開催と深く結びついていることです。
バイデン大統領周辺には、「北京冬季五輪をボイコットするなら、その前の東京五輪も参加しないほうが良い」との声が上がっています。
つまり、最終目的は北京五輪を潰したいことにあり、そのために東京五輪不参加を政治的に利用しようというものです。
もっとも、米国もこれで一枚岩になっているわけではありません。例えば、ヒラリー・クリントン氏は、北京五輪潰しが最終目的で、東京五輪はできるのであれば開催しても構わない、との立場と言います。
日本としては、何とかクリントン・ラインで進めたいところですが、この15日にブリンケン米国務長官、オースチン国防長官が来日予定で、日米2プラス2の会談を予定しています。
ここで米国から東京五輪についても何らかのシグナルが送られる可能性があり、注目されます。